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農に向き合う~農業経営部会会員紹介「音更・三浦農場」

三浦尚史代表

1.99haで小麦など作付
 音更町内の畑99ヘクタールで、小麦、ジャガイモ、豆、ビートの「畑作4品目」とナガイモを生産する。主力の小麦は毎年45~50ヘクタールで、うどん用に使われる「きたほなみ」と、パン用の「キタノカオリ」の2品種を作付けする。豆は小豆は「エリモショウズ」、大豆は「音更大袖大豆」を栽培している。

 十勝管内の平均耕作面積(42ヘクタール)の2倍に当たる広さの畑を、は種から収穫まで適期に管理するため活用しているのが、GPS(全地球測位システム)ガイダンス機能付きのトラクター。新技術で省力化を図ることでナガイモや豆など収益が高い作物にチャレンジし、は種など作業期が重なる作物も同時に育てることができている。大手メーカーのロボットトラクター運用システムの開発にも携わった。 

2.ニオ積み、土づくり 小豆作りへのこだわり
 エリモショウズは毎年9~10ヘクタールで育て、全量を六花亭製菓(帯広)に出荷している。同社の夏菓子の定番「水ようかん」は全て三浦農場の小豆製だ。有機質の肥料を数種類ブレンドして土づくりにこだわり、収穫ではニオ積みして乾燥させる。小豆を作る畑の輪作周期は9~10年。100ヘクタールの面積があるからできることで、これだけ間隔を置くと土中の菌や栄養分による輪作障害も起こりにくい。

 豆の収穫は1台のコンバインで脱穀まで行うのが一般的だが、三浦農場では刈り取り後に全てニオ積みしてじっくりと乾燥させた後、脱穀機にかける。三浦さんは「収穫、肥料と手間はかかるが、製あんの担当者には香りが違うと言われる。天気だけはコントロールできないが、小豆にいいことは全てやろうと思っている」と語る。

3.個性ある農家との出会い
 同友会農業経営部会には芽室JCの活動で一緒だった尾藤光一さん(芽室)の誘いで入会。「入ったらひと味もふた味も違う農家ばかりだった」と個性的でこだわりの経営をするメンバーの多さに驚いた。勉強会や飲み会などさまざまな場で、営農の情報やヒントを得ているという。地域や町内の仲間とのつながりも重要だが、「自分の時間を使い会費を払ってまで参加し、忙しい8月末に収穫イベントを開く。志を持つ人たちが多く刺激になる」とやりがいを感じている。

4.量より質 消費者の喜びのために
 小豆作りにこだわった父のように、三浦さんはパン用小麦に可能性を感じて力を入れている。製パン業者と話す中で、キタノカオリの小麦粉は追肥が多いと渋みが出ると知った。肥料は多いほど大きく育って収量は増える。しかし、三浦さんは3回目の追肥は減らすことを選んだ。「ただ量を目指すのではなく、味の良い小麦を作りたい。パン屋さんとコミュニケーションしたから気付いたこと」と話す。

 十勝産小麦をPRしていこうと昨年、地域循環を進める団体「ばん馬toきのこto小麦の環」を立ち上げた。三浦農場の麦わらが、ばんえい競馬の敷きわらになり、その厩(きゅう)肥がキノコの培地や小麦の堆肥になる取り組みだ。三浦さんは「製パン、製菓子業者だけでなく、どうやったら消費者に喜んでもらえるかを考えて作っていきたい」と話している。


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