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播種後の天候がポイント! 飼料用とうもろこしの効果的な窒素施肥

道総研 北見農業試験場 研究部 生産環境グループ
道総研 十勝農業試験場 研究部 生産環境グループ

1.試験のねらい
 飼料用とうもろこし(以下、とうもろこしと略)の窒素施肥では、各圃場の収量水準と窒素肥沃度により総窒素施肥量を設定し、基肥と分施に分けて施用する分施体系が奨励されるが、分施窒素の肥効は不安定であることが確認されていた。分施窒素の肥効変動要因を解明し、施肥対応を策定した。

2.試験の方法
(1)分施窒素の肥効に影響を与える要因の解析
 (a)分施窒素肥効の変動: 根釧・オホーツク地域の農試・生産者圃場(2013~2019年、年次・土壌型などが異なる75事例)において、分施窒素の施肥量試験を実施。各事例での最大収量区について、分施による増収効果を分施窒素無施用区に対する乾物収量比(以下、分施効果)で評価。

(2)分施窒素の施肥対応の策定
 (a)施肥対応の策定:分施窒素の肥効が発現する条件を整理し、施肥対応を策定。
 (b)想定収量の補正: 収量変動が大きい根釧地域を対象に、分施時に収穫期の収量水準を予測する手法を検討。

3.成果の概要
(1)分施効果は、根釧およびオホーツクのいずれの地域においても、分施時の土壌無機態窒素量(株間、0~40cm)が少ないほど大きく、同窒素が約23kg/10a以下で105(分施による増収率5%)以上になる可能性が高いと見込まれた(図1)。また、生育初期の積算降水量が250mm を超えると同窒素は23kg/10aを下回る可能性が高いと考えられた(データ略)。
(2)分施効果を105未満、105以上110未満および110以上に3区分し、生育初期の積算降水量を説明変数とするロジスティック回帰を行った(図2)。同降水量が100,250および400mm の条件では、分施効果が105以上となる確率(図の斜線と塗り潰し部分の高さの和)は、各々約50,80および94%と推定された。
(3)生育初期の降水量が250mm 未満かつ熱抽N 量(mg/100g)が8以上の条件では、分施効果105未満(分施の効果が極めて小さい)の事例割合は、同N 量8未満の条件より統計的に高かった(図3)。また、降水量250mm 以上かつ乾物収量1200kg/10a未満の条件(すべて根釧地域)では、分施窒素量6kg/10aまでは増収を期待できた(データ略)。これら事例と現行施肥対応を踏まえ、降水量、熱抽N、想定乾物収量で仕切った分施窒素の施肥対応を策定した(図4)。
(4)想定乾物収量は、オホーツク地域の全ておよび根釧地域の生育初期の積算降水量250mm 未満の条件では、収量変動が比較的小さいため、現行施肥対応と同様に各圃場の平均的な収量とする。根釧地域において生育初期の積算降水量250mm 以上の条件では、収量変動が大きいため、播種後50日間の日平均気温の積算値と播種日から想定乾物収量を予測する(図4脚注)。

4.留意点
(1)根釧およびオホーツク地域の火山性土、低地土および台地土で得られた成果である。
(2)ふん尿を施用する場合、既往の成果に基づく上限量の範囲内で利用することとし、基肥および分施相当分のふん尿由来窒素量を評価して化学肥料を減肥する。
(3)降水量・日平均気温は、メッシュ農業気象データシステム(農研機構)から予報値を入手できるが、予報期間が長くなるほど誤差が大きくなる可能性がある。


詳しい内容については、次にお問い合わせ下さい。
道総研酪農試験場 草地研究部 飼料環境グループ 八木 哲生
電話(0153)72-2004 FAX(0153)73-5329
E-mail yagi-tetuo@hro.or.jp

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