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北海道の加工用にんじんの品種 ~収量は「カーソン」、味は「紅ぞろい」~

道総研 花・野菜技術センター 研究部 花き野菜グループ

1.試験のねらい
 加工・業務用にんじんは年間を通じて需要が多く、安定的に確保するために輸入品が多く利用されている。実需者および消費者の国産指向は強く、北海道におけるにんじんの振興を図るため、加工用途に適した民間育成にんじん品種の特性を明らかにする必要がある。そこで北海道における加工用にんじんとして、耐抽台性、収量性、機械収穫適性、貯蔵性、圃場での越冬性および加工適性などの特性を明らかにした。

2.試験の方法
1)晩春まき作型における加工用にんじん品種の栽培特性評価
   (1)対象作型:晩春まき。(2)試験場所:花・野菜技術センター場内圃場(滝川市)。(3)供試品種:12品種系統(標準品種「アンビシャス」、参考品種「向陽二号」。(4)調査項目:①生育および収量性調査、②品質調査、③機械収穫適性:根長、草姿および収穫時の葉の枯れ上がり等、④貯蔵性:貯蔵4ヶ月後(貯蔵温度3℃)の発根萌芽、腐敗程度および品質、⑤越冬性:圃場で越冬させ、融雪後の収穫物の腐敗率および品質、⑥実需者評価:にんじんを利用しているメーカーに加工適性の評価を依頼。
2)加工用にんじん品種の地域適応性調査
   (1)対象作型:晩春まき。(2)試験場所:長沼町、恵庭市、士幌町、美瑛町。(3)調査項目:1)-(4)の①、②に準ずる。

3.試験の結果
1 )晩春まき作型における加工用にんじんの耐抽台性と収量性を重点的に評価した結果、標準品種「アンビシャス」より優れた特性を有する品種は「ベータークイーン」、「カーソン」であった(表1)。
2 )機械収穫適性について、根長、草姿および収穫時の葉の枯れ上がり等を評価した結果、「アンビシャス」並みの品種は「トロフィー」、「クリスティーヌ」、「カーソン」、「ベルリン」であった(表1)。「ベータークイーン」は根長が長く機械収穫適性が劣った。
3 )貯蔵性について、発根萌芽および腐敗程度を評価した結果、「アンビシャス」並から優れた品種は「トロフィー」、「カーソン」、「ベルリン」であった(表1)。貯蔵期間の発根萌芽が多いと、貯蔵中の内部品質(乾物率およびBrix%)が低下することがわかった(データ略)。
4 )圃場での越冬性について、越冬後の腐敗率を調査した結果、「アンビシャス」より明らかに優れた品種は「紅ぞろい」、「クリスティーヌ」、「カーソン」であった(表1)。
5 )実需者による加工適性評価では、いずれの品種も「アンビシャス」と同等以上で、加工利用について問題はなかった。北海道でもっとも作付けの多い青果用の参考品種「向陽二号」並みに優れた品種はなかったが、「紅ぞろい」は「向陽二号」とほぼ同等の加工適性を有するものと判断された(表2)。
6 )地域適応性調査で、「カーソン」の規格内収量が現地4か所のいずれにおいても優れていた。(表3)。
7 )以上より標準品種「アンビシャス」に比べ、収量性が優れ安定生産可能な「カーソン」と、実需者による加工適性評価が優れた「紅ぞろい」の2品種が有望であった。

【用語解説】
 晩春まき作型: 播種期は5月中で加工用にんじんの生育期間は140~160日と青果用品種よりも長いため、収穫期は10月~11月上旬と北海道でもっとも遅く収穫される。



詳しい内容については、次にお問い合わせ下さい。
道総研花・野菜技術センター
電話(0125)28-2800  E-mail:hanayasai-agri@hro.or.jp

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