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小笹さん、鈴木さんの身元確認 望み断たれ遺族悲痛

椿さんの車が引き揚げられた地点の下流を捜索する警察官ら(3日午前9時10分ごろ、新井拓海撮影)

 【清水・新得・広尾】2人が行方不明になった清水町内では3日も懸命の捜索が続き、関係者が無事の発見を祈っている。一方、2日に遺体で発見された小笹義夫さんと鈴木洋平さんの家族は同日午後、それぞれの身元確認の知らせに悲痛な表情を浮かべた。

 小笹さんの妻多美子さん(69)は夫の行方不明後も、避難先の新得小学校で地元神社町内会の仲間に囲まれ気丈に生活してきた。町内の施設に入所する母親(94)を思い、「気落ちせず、前を向いて生きていきたい」と声を絞り出した。

 避難指示が出た8月30日未明、隣に住む太田紘文さん(75)は「おい、行くぞ」と小笹さんが愛犬リュウを呼ぶ声を聞いた。神社橋崩の事実は誰も知らず、小笹さんは子どものようにかわいがっていたリュウとともに川に転落した。

 小笹さんは新得寺の世話人としても長年活躍し、8月17日の灯籠万燈供養では紙製の灯籠造りに精を出した。寺の草刈りにも毎日のように通った。清野太禅住職は「冬は朝6時の梵鐘(ぼんしょう)と同時に、まだ暗い内から除雪に来てくれた。人が嫌がることも陰で誠実にやる人。寺のために尽くしてくれた」と冥福を祈った。

 鈴木さんの父博志さん(60)=札幌市=は2日夜、広尾署がある広尾町内で報道陣に「遺体と対面し、亡くなったことを実感した。生きているといういちるの望みをかけて捜索を見つめたが、息子を亡くす結果になった。親としては無念」とうつろな表情で話した。

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