防災まちづくり研究所・水藤代表に水害対策聞く
行政頼らず避難判断を
情報入手し事前準備、明るいうちに移動
十勝管内は8月に相次いで上陸・接近した台風の影響で河川が増水し、多くの地域で避難勧告や指示が出た。避難発令が深夜や未明に出されたことに、行政への批判もくすぶる。防災まちづくり研究所(帯広)の水藤恒彦代表(71)は、地震とは異なり水害は事前に避難準備ができるとし、「明るいうちに避難することが重要。行政の判断を待つだけではなく、命を守るために自分で判断を」と呼び掛けている。(池谷智仁)
台風10号による大雨で、帯広市は8月31日午前2時半に札内川沿いに、同3時45分には十勝川沿いの住民に避難勧告を発令した。ただ暗い中での勧告に、避難に戸惑った住民もいた。
水藤さんは市消防本部消防長を務め、阪神淡路大震災でも発生2週間後に被災地に入るなど、数多くの災害現場を経験。水害に関しては、「雨が降る夜中に避難所に移動するのは危険が伴う」と語る。
水害時はマンホールのふたが外れることがあり、側溝を含めて転落する危険度が高まる。暗い中では川の増水も把握しづらく、避難することで逆に被害に遭う可能性がある。「住宅の2階に移動するなど垂直避難も検討するべき」とし、その上で、明るいうちに避難することが最も重要とする。
突発的な地震とは違い、大雨災害は降水量や今後の気象状況、河川増水などのリアルタイム情報をインターネットやテレビで入手でき、「身を守るため、自分から進んで行動するべき」と強調。公共施設に設置される避難所では不便な生活を強いられることから、「家族や知人宅の他、近くに川がないホテルに宿泊することも選択肢に入れてほしい」とアドバイスする。
行政に対しては、「避難勧告や指示は明るいうちに出すことが必要。空振りでもいいので、早めに出すべきだ」と指摘。今回、避難誘導がうまくいかなかった避難所があったとし、円滑に機能したのか検証が必要としている。