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上札内の雪で観測衛星開発

上札内地区で行われた昨年の雪氷観測実験(気象庁気象研究所提供)

 【中札内】気象庁気象研究所や宇宙航空研究開発機構(JAXA)地球観測研究センターなどの研究者が21~28日、良質な雪が降る上札内地区に滞在し、人工衛星と連動した雪氷の観測、成分分析を行う。近い将来、打ち上げ予定がある別衛星のデータ処理プログラムの精度を高める実験で、24日には地域の小学生に研究成果や関連話題を紹介する講演会と体験学習会も開く。研究グループの代表で同研究所の青木輝夫室長は「上札内は絶好の観測場所。子どもたちの夢が広がる後押しもできたら」としている。

 滞在するのは同研究所やJAXA、北見工大、富山大で構成する7人で、大気や植生などに関わる観測を担う気候変動観測衛星「GCOM-C」(ジーコムシー)の雪氷部門を担当する研究グループ。2008年以降ほぼ毎年、降雪量や晴天など気象条件が整うという上札内を拠点に観測実験を行っており、これまで地球観測技術衛星2型「みどり2」(02年)の開発などにも携わった。GCOM-Cの開発は11年から。

 2年後に打ち上げを予定しているGCOM-Cは、地球の気候形成に影響を及ぼすさまざまな物理量を長期的に観測することで、将来の気候変動の予測精度を高めるという。

 青木室長によると、近年は北極圏を中心に急激な気候変動が起こっている。中でもグリーンランドの氷床融解は海面上昇の原因になり、「実態把握と将来予測が重要な課題」。「雪粒の大きさや汚れが太陽の反射率と密接に関わり、融解を誘発する」といい、同衛星では氷床面積の減少だけではなく雪氷の性質なども調べる。

 そのため、上札内では研究者がそりを引いて雪原に入り、雪粒の大きさや汚れ、雪温を分析する他、分光装置を使って太陽光や赤外線も測定。上空を飛ぶ米航空宇宙局(NASA)の衛星が観測した同所のデータと比較して精度を高め、新しい衛星のプログラム開発に生かす計画だ。

 講演会では青木室長がグリーンランドの研究と人や自然を紹介する他、JAXA地球観測センターの堀雅裕主任研究員がGCOM-Cやロケットの打ち上げの様子について解説する。雪や氷の体験学習もある。上札内交流館で午後3時から同4時半まで。定員40人。基本的には村内の小学生限定だが、問い合わせに応じる。希望者は同交流館(0155・69・4338)へ。(小寺泰介)

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  • 青木輝夫室長

    青木輝夫室長

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