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小豆の農薬成分使用回数半減モデル

十勝農試 研究部 生産環境グループ

1.背景と目的
 消費者の多様なニーズに対応するため化学肥料・化学農薬を慣行対比で5割以上削減する特別栽培が広がる一方で、収量や品質の安定化が課題となっている。本試験は、化学農薬の成分使用回数を「クリーン農業技術体系 改訂版」(平成18年)に記載された慣行※1から5割削減しても減収しない半減防除体系モデルを提示することを目的とした。

2.試験方法
 1)殺菌剤・殺虫剤の成分使用回数を5割削減した時の各病害虫の被害調査
  化学農薬の成分使用回数を慣行から半減した処理区を殺菌剤と殺虫剤の別々に設定し、病害虫 の被害発生状況を調査する。調査項目は、苗立枯性病害・炭疽病・灰色かび病・タネバエ・アズキ ノメイガの発生・被害調査
 2)半減防除体系の実証試験
  殺菌剤・殺虫剤の半減防除を組み合わせた体系を実施した時の収量と農薬費を明らかにする。 調査項目は、主要病害虫の発生・被害状況と収量。調査場所は、十勝農試場内と大樹町現地ほ場。

3.成果の概要
 1)試験ほ場で発生した病害虫のうち、収量に影響する程度の発生が認められたものは、灰色か
  び病・炭疽病・タネバエ・アズキノメイガだった。
 2)苗立枯性病害に対しては無処理区も出芽率は高かったことから種子消毒は不要と考えられた。
 3)灰色かび病と炭疽病に対してピリベンカルブ水和剤DFとボスカリド水和剤DFを散布した半減防  除体系区(2成分)は慣行防除体系区(4成分)と同程度の防除効果が認められた(図1)。ただし、炭  疽病が早期に初発した年次には防除効果が劣るため、7月中旬頃までに初発した時は臨機防除※2
 を検討する必要がある。
 4)タネバエの少発生条件下では種子処理による対策は不要と考えられたが、多発生条件下では
 種子処理が有効であり、チアメトキサム水和剤Fを塗抹した処理区で高い防除効果が認められた。
 5)アズキノメイガ被害に対して、A剤(未登録)と合成ピレスロイド系剤または有機リン系剤を散
 布した半減防除体系区(2成分)は、慣行防除体系区(3成分)よりも防除効果が高かった(図2)。
 6)殺菌剤と殺虫剤を合計5成分散布した半減防除体系区は、灰色かび病・炭疽病・菌核病・タネ
 バエ・アズキノメイガに対して高い防除効果が認められ、慣行防除体系区(9成分)※1と同等の収 量が得られた(図3)。
 7)小豆栽培で化学農薬成分使用回数を慣行比5割以上削減した半減防除体系モデルを示した
  (表1)。同モデルに基づいて小豆60kgを生産した時に要する農薬費は慣行比93だった。

4.成果の活用面と留意点
 1)本成績で示したモデルは特別栽培を実施する場合の参考として活用する。ただし、地域によ って問題となる病害虫は異なることが想定されるので、発生状況に応じた変更が必要となる。
 2)本成績は十勝管内で行った試験であり、半減防除体系モデルの防除対象とした病害虫は灰色
  かび病・炭疽病・菌核病・タネバエ・アズキノメイガである。
 3)A剤が登録されるまでのアズキノメイガの防除には合成ピレスロイド系剤または有機リン系
  剤を3回散布する。
※1 北海道の小豆栽培における殺菌剤・殺虫剤の慣行の成分使用回数は11成分とされているが、
   本試験の慣行防除体系区の成分使用回数は9成分とした。
※2 臨機防除:突発的な病害虫の発生や、地域により発生状態が異なる病害虫に対して行う防除





詳しい内容については、次にお問い合わせ下さい。

道総研十勝農業試験場 生産環境グループ
電話(0155)62-2431 E-mail:tokachi-agri@hro.or.jp

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