HASTIC 「カムイ」打ち上げ成功 高度3.5キロ、信号で機体分離
【大樹】NPO法人北海道宇宙科学技術創成センター(HASTIC)などは4日午前7時半ごろ、大樹町多目的航空公園付近の町有地で実用気象観測用小型ハイブリッドロケット「CAMUI(カムイ)」の打ち上げ実験を行った。昨年3月と7月に実施予定だったが、燃焼実験でエンジンに不具合が生じたため延期されており、3度目の試みで成功した。
今回のロケット「CAMUI−250S」は、全長4・7メートル、重さ48・5キロ、推力250キロ。火薬類を使わずポリエチレンと液体酸素を推進剤に機体を飛ばすため、安全で安価な造りになっている。
打ち上げは小雨の中で行われ、勢いよく発射したロケットは高度3・5キロまで上昇。これまで大樹町で行われた実験での高度1キロを上回った。機体の切り離しでは、地上から信号を送って分離させ、パラシュートを開かせることに初めて成功。発射点から1分15秒後に約7キロ沖合の海上に着水させたが、搭載した電波発信機が故障したため回収できなかった。
終了後の記者会見で、実験の技術支援を行ったカムイスペースワークス(赤平市)の植松努社長は「地上から機体を制御する目標が達成できて大成功」とし、開発チームのリーダーで北大大学院の永田晴紀教授は「さらに機能を向上させたロケットを年度内に打ち上げたい」と展望を語った。一般見学では道内外から113人が訪れた。(北雅貴)