林業各社の協力体制構築へ 幕別で林業営む笠原さんが業界交流会「salud会」昨年から開催
幕別町内で林業会社「K skog(ケー・スコーグ)」を営む笠原鎮さん(40)は、昨年3月から十勝を含む道東地域の同業経営者らを集めて交流する「salud(サルー)会」を開いている。人手不足が深刻化しつつある業界の持続に向けて、横のつながりを強化し、現場での協力体制を構築しようと3カ月に1度、帯広市を中心に開催。「ゆくゆくは全道に会の輪を広げたい」と意気込む。(山田夏航)
「このままではまずい」。以前勤めていた会社を含めると、林業に従事して20年になる笠原さんは、かねて人手不足などによる業界の衰退を懸念していた。
道が隔年度で発表する林業労働実態調査によると、2023年度の道内林業従事者数は4180人で、10年前の13年度と比べ74人減。高齢化率が高く、23年度の60歳以上の割合は30・5%(臨時雇用者を除く)。今後、急激な労働力減少が見込まれている。
実際に人手不足が原因で仕事をキャンセルした経験があると笠原さん。業界では、おおむね一つの現場を一つの会社のみで完遂するという構造になっていたため、小規模な会社ではマンパワーが足りず、断りを入れることがあるという。
今後こうしたケースが続くと、経営を圧迫してより人手不足が深刻になると危惧した笠原さんは、業界各社で協力して現場を回す新たな仕組みを構築できないかと考えた。「そうすることでキャンセルを無くしたり、人手を増やして現場の仕事効率を良くできる。また、他社が受け持つ現場で働いて稼ぐこともできる」と期待を膨らませた。
そこで、まず業界各社それぞれの仲を深め、横のつながりを強化しようと、自ら他社の経営者たちへ連絡。ざっくばらんに業界について話し合う交流会を帯広市内で昨年3月に初めて設けた。名前にはスペイン語で乾杯を意味する「salud」などからひらめき、「salud会」とした。
初回は十勝を含む道東地域から計7社10人弱が集まった。直近で今年3月に開かれた同会では、計18社23人が集まるなどし、認知度も高まっている。1年がたち、同会によって経営者同士の親交が生まれ、金銭面などを交渉した後に協力体制を組み相互で現場に携わるケースも出てきた。
次回は28日午後7時から帯広市内のグランテラス帯広で開く予定。問い合わせは同会インスタグラムにダイレクトメッセージで。笠原さんは「興味があればぜひ参加を」と呼び掛けている。