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「ダンスを普及させたい」 戦争を経験した99歳の坂東さん、仲間に思いをはせる

パートナーを組む斉藤さんの手を取り、ポーズを決める坂東さん

 【音更】音更町に白寿(99歳)を迎えた今も、元気に社交ダンスを楽しむお年寄りがいる。坂東義博さん。背筋が伸び、年齢を感じさせない華麗なステップで女性をリードする。坂東さんは「美しい音楽を聞きながら体を動かすのは最高」と話し、いきがいのダンスを日々楽しんでいる。(高井翔太)

 坂東さんは1925年清水町生まれ。清水尋常小学校、同校高等科を経て、14歳で帯広の北部第73部隊に入隊した。日本が太平洋戦争へと突き進む時代。17歳でパイロットに憧れを抱き、東京の陸軍少年飛行兵学校に入学した。

 2年間の厳しい訓練を耐え抜いたが、視力が悪く飛行機整備への配属となり全国を渡り歩いた。戦争末期の45年5月、特攻隊として飛び立った約100人の同期が命を落とした。「爆弾を抱えて死んでいった同僚には申し訳ないと思う」と振り返る。丈夫な体を得たが、多くの仲間を失った。

 ダンスとの出合いは、戦後帰郷し就職した清水町の製糖工場にできたダンスクラブ。「思考力、体力の維持に良さそうだと思い始めた」。しかし2年で林野庁に転職し、十勝管内の営林署などでの勤務となり、ダンスとは疎遠となった。

 定年退職後、暇を持て余していた時に昔好きだったダンスを思い出し、道内各地で開かれていた講習会に参加。65歳で日本ダンススポーツ連盟の公認指導員の資格を取得した。

 その後「音更ダンス愛好会」を設立し、約20年間にわたり普及と指導に尽力。その間、がんを患ったが、「ダンスを普及させたい」という強い思いで乗り越えた。

 現在は、帯広市内のサークル「プラザダンス」でワルツやタンゴなどを楽しむ。パートナーを組む斉藤容子さんは「リードがいいから任せておけば自然に踊れる」と笑顔だ。

 「こんないい世の中が来るとは思えなかった」。坂東さんは軍隊で過ごした少年時代を思い返し、そう実感を込めた。

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  • パートナーの斉藤さんをリードし踊る坂東さん

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