JA中札内村麦豆部会が農林水産大臣賞、岩瀬夫妻は第2席 全国麦作共励会
「2023年度全国麦作共励会」の集団の部でJA中札内村麦豆事業部会(大野孝幸代表)が最高賞の農林水産大臣賞に輝いた。農家の部では最高賞に次ぐ全国米麦改良協会会長賞に岩瀬紀昭さん・瑞子さん夫妻(上士幌町、ともに54歳)が選ばれ、十勝の農家による小麦栽培が高い評価を得た。十勝関係者の農林水産大臣賞受賞は11年ぶり。(松村智裕)
全国農協中央会、全国米麦改良協会の主催。麦作の生産技術の向上などを目的とし、1974年から毎年開かれている。今年度は18道県から農家の部に45点、集団の部に46点の応募があり、都道府県や全国6ブロックの審査委員会を経て、昨年12月22日の中央審査委員会で各賞が決まった。
JA中札内村麦豆事業部会は75年発足。84戸で構成し、秋まき小麦の「きたほなみ」は920ヘクタールで栽培している。2023年産は10アール当たりの収量が道平均と比べて40%多い727キロと高い水準を誇る。
小麦は、ビートやジャガイモ、豆類を含めた畑作4品に加え、枝豆・サヤインゲンも含めた4年以上の輪作体系を維持。畜産農家と連携し、堆肥の供給も受けている。適正な施肥や防除、ほ場ごとの適期収穫などに地域ぐるみで取り組んでいる。
大野代表(56)は「素晴らしい賞をもらえて正直驚いている。輪作体系や短期集中の低水分収穫など生産者とJA職員が一体となって取り組んできたことが評価されてうれしい。今後も高品質の小麦を消費者に届けたい」と語った。
岩瀬夫妻は秋まき小麦(きたほなみ)を含む畑作4品と肉牛の複合経営を展開。家族3人で取り組み、繁忙期は短期雇用を活用している。小麦は今年、10・25ヘクタールで栽培し、収量は10アール当たり738キロ、製品歩留まりは94・2%だった。
ほ場観察は毎日欠かさず、病害虫の早期発見に努める。ドローンで上空からほ場を撮影し、葉色を判断して施肥量を調整。また、バイオガスプラントで産出されるメタン発酵消化液をほ場に散布し、その有用性を他の農家に示している。
紀昭さんは「周囲の協力のおかげで受賞できた。この賞を励みに、今後も自分のできるやり方で小麦作りに取り組みたい」と話している。
管内関係の農林水産大臣賞の受賞は、12年度の集団の部の池田町川合1地区、農家の部の川上修一さん・由美子さん夫妻(足寄町)以来となる。
表彰式は2月29日に都内で開かれる予定。