コロナ禍の実習減、逆境に負けない看護学生 資格取得へ猛勉強
看護学生が、医療の現場で学んだ具体的事例などを分析・検討して、今後に生かしていく「ケーススタディー(事例研究)」。病院実習で行った自身の看護を振り返り、クラスメートの実習発表に触れることで、さらに看護観を深める。ここ数年はコロナ禍で、病院実習自体に大きな影響が出る中でも、学生たちは懸命に取り組んでいる。(松岡秀宜)
帯広高等看護学院(大瀧雅文学院長)では11月27~28日、3年生40人によるケーススタディー発表会(看護実践と研究)が行われた。今年4~6月、帯広市内の医療機関で行った病院実習を検証した内容で、成人看護学、老年看護学、精神看護学などの科目に基づき、各生徒が論文を作成した。
生徒たちは、事例にとどまらず、患者に対する倫理的配慮、テーマに関連した看護診断とアセスメント、看護目標、看護計画に基づく具体的な援助と結果、考察など、それぞれの観点で発表した。
そこには、「(患者が)自分らしく生活をできるよう、一緒に心地良い環境を整えることが、生きる希望や全人的苦痛の緩和につながったのでは」「(患者の)一日の生活を踏まえて関わる大切さと、ニーズを捉える大切さを改めて知った」など、病と闘う患者に寄り添わないと、得られない言葉が多く並んでいた。
同校に限らず、今年度の3年生は、1~2年生時には病院実習自体ができなかったり、少ない時間に限られたりと、「コロナの影響をまともに受けた学年」(同校)。最終学年ながらも、ほぼ初めての病院実習となるケースも多かったという。
3年生は来春の国家試験に合格すると、医療現場では一看護師として従事する。このため、実習先やケーススタディーでは、求められるスキルも高くなり、「コロナ前後で、変わるものではない」(同)状況だ。
一つの事例を取り上げて自身の看護技術向上につなげる一方、患者と接することで得た「気づき」を、今後の臨床現場で生かすための検討と研究は、コロナ前後に問わず、病院実習から得るものが多いという。
十勝管内でも、患者・家族や医療機関らの協力を得ながら、看護学生が「学び」を共有している。