ゾウの「ナナ」 飼育しなくなった種も紹介 動物園の60年 一冊に
「いつまでもナナに胸を張って見せられる動物園であり続けたい」(記念誌より)-。今年、開園60周年を迎えたおびひろ動物園(稲葉利行園長)は「おびひろ動物園60年記念誌」を作成した。50周年に続く発刊で、動物と来園者と歩んだ60年を振り返るとともに、今後の発展に向けた取り組みを紹介している。
飼育員2人が編集
飼育展示係の片桐奈月さん、藤澤美緒さんが編集を担当し、4月から編集作業に当たった。おびひろ動物園の歴史や、動物たちの足跡を意味する「動跡」をテーマとした。
50周年までの歴史を写真と年表で振り返った後、2013年以降の出来事を愛らしい動物の写真を豊富に使用して1年ずつ見開きで紹介。歴代のチケット・パンフレットや入園料・入園者数の推移も掲載している。
ここ10年で力を入れてきた取り組みも掲載。SNSなどでの魅力発信や、「おびひろ動物園魅力アップ検討委員会」で策定した20~29年の同園の方針、寄付や寄贈の受け付け、環境エンリッチメントやハズバンダリートレーニングなどの動物福祉への取り組みをまとめている。
締めくくりの3ページでは、「Memories」と題して同園で飼育しなくなった種を紹介。20年に死んだアジアゾウの「ナナ」(当時59歳)は2ページを割いて大きな写真を載せた。片桐さんは「ナナは(同園に)長くいて、特別な存在だった。何かを残したかった」と話す。ナナの最後の10年間の飼育を担当した冨川創平さんのコメントも載せた。
表紙は道内で同園にしかいないバイソンの写真を使用。飼育展示係の松尾太郎さんが撮影した。A4判、カラー64ページ。500部作成し、市内の小中学校やコミュニティセンター、帯広市図書館や全国の動物園などに配布した。同園のホームページからも閲覧できる。
片桐さんは「写真探しに苦労した。なるべく多くの動物の名前を拾ってあげようと意識した」と振り返る。稲葉園長は「これからの動物園の取り組みにも期待しながら読んでほしい」と話している。(北村里沙)