高齢者と企業のマッチングに手応え ジョブジョブとかち、独自事業で継続へ
帯広地域雇用創出促進協議会が厚生労働省の委託事業として運営する、企業と高齢求職者をつなぐマッチングシステム「ジョブジョブとかちシニア」が3年の期間を3月末で満了する。登録企業数や就職者数などの目標数値は全て達成し、今後も同協議会の事業として運営を継続。厚労省の後継事業にも応募し、障害者の就労支援など事業の拡充も目指していく。
登録312社・求職263人・就職241人
「ジョブジョブ-」は2020年5月、厚労省の「生涯現役促進地域連携事業」の委託を受け、同年10月にウェブサイトを開設した。55歳以上の求職者一人一人と面談して、職歴の聞き取りなどを行って履歴書の作成をサポート。登録企業にメールやウェブサイトで求職者情報を通知し、企業が求職者にオファーを出すことで面談などに進む。
20~22年度の3年間で、登録企業数は312社と目標の130社を大きく上回る(2月28日時点)。登録企業は帯広市内が約75%を占め、医療・福祉、サービス、建設などの事業者が多い。
登録する求職者は263人(同)で目標とした250人を上回る。60代の割合が最も高く、70代、50代と続く。就職者数も延べ241人(同)と目標の198人を超えた。施設管理や清掃、事務、介護などの業種の就職が多い。フルタイムの就職者は約15%で、雇用保険の対象となる週20時間以上のパート勤務も約55%と多い。
登録数や就労実績は目標を達成したが、マッチング率には課題も残る。企業が求職者に興味を持ったことを示すリクエスト率は94%ほどで高い。一方で、リクエストを求職者が受諾するマッチング率は3年通して約11%前後にとどまる。
同協議会を構成するとかち地域活性化支援機構の岩本聖史専務理事は「高齢者の慎重さが裏目に出ている。『自分には業務が難しく、会社に迷惑を掛ける』と遠慮し、面接に至らないケースが多くある」と言及。企業見学会などで業務を確認できた求職者のマッチング率は7割前後まで跳ね上がることから、「見学の機会を増やしていきたい」としている。
シニア就職に一定の役割を果たせていると考え、「ジョブジョブ-」は厚労省の委託事業終了後も運営を継続する方針。また、同省の後継事業である「生涯現役地域づくり環境整備事業」に申請中で、就労支援の枠組みをシニア求職者だけでなく、障害者などにも広げることを企画している。(吉原慧)