「料理は愛情」陳建一さん死去、十勝の料理人も惜しむ
11日に67歳で亡くなった中華料理の“鉄人”陳建一さんは、たびたび十勝を訪れていた。日本中国料理協会会長として、同協会帯広支部の賞味会では調理を実演。多大な影響を受けた十勝の料理人らからも惜しむ声が聞かれた。
同支部の支部長で、帯広の中華料理店「美珍樓 西家」の鈴木邦彦社長(56)は突然の訃報に「本当にショック。時代が一つ変わるような気がする」と悔やんだ。鈴木社長の店の調理場に入り、「ホイコーローチャーハン」を振る舞ったことも。ゴルフ好きで知られる陳さんと一緒にラウンドしたこともあった。「まさに鉄人だなと思ったが、鉄人じゃなかったんだなと。一番亡くなってほしくない人でした」
同支部前支部長で、市内の美麗華料理教室で料理指導する林功さん(72)は「まだこれからという時に。またディナーショーをやっていただきたかった」と惜しんだ。気さくで、腰が低く、偉ぶることがなかったという。得意とする四川料理は辛いイメージがあるが「味のベースはお客さまの好みだから」と話していたのが印象に残っている。客の顔を見ることの大切さを学んだ。
広尾の中華料理店「王府」の店主土谷典男さん(67)は、陳さんが帯広に訪れた際にもらった色紙の言葉「菜心是愛」を座右の銘にする。「『料理は愛情だよ』と。心を込めないと料理はおいしくない、というのを店のポリシーにしている」と語った。
テレビ番組では気さくな人柄で、視聴者にも分かりやすい説明が好評だった。分け隔てなく、にこやかに接し、四川料理を広めるとともに、中華料理界の上海や北京などの派閥をまとめ上げた特異な人でもあった。(高井翔太)