しばれ最高潮の陸別、氷点下30・4度 38年ぶりに記録更新
【陸別】「日本一寒い町」として知られる陸別町で厳しい冷え込みが続いている。23日も午前7時28分に全国最低気温となる氷点下30・4度を記録。今月3日の同30・6度、5日の同30・4度に続き、3回目の大台超えとなった。今冬、同30度以下となったのは全国で陸別のみ。1月に全国最低気温となった回数も23日までに、7日連続を含めて計16回と群を抜いており、寒さは“絶好調”だ。町民有志の「しばれ技術開発研究所」(しばれ研、佐藤秀昭所長)で顧問を務める浜田始さんは「寒さを求めて陸別に来る人や企業があると知ってから、寒さにこだわりを持つようになった。この冬もこのまま冷え込んでもらえたら」と力を込める。(北雅貴)
しばれ研や気象庁のデータによると、陸別では2020年2月9日の氷点下30・7度以来、同30度を下回っていなかった。1月に3回も記録するのは、1985年以来38年ぶりとなる。
しばれ研で浜田さんらと熱心に活動している町役場職員の空井猛寿さんによると、77年10月に陸別町に地域気象観測システム(アメダス)が設置されてから、「3日の氷点下30度は最も早い。年明け早々にここまで寒くなるのは珍しい」と話す。氷点下20度台も23日までに13回を数えており、帯広測候所は「晴れの日が多く夜間の風も穏やかで、放射冷却が起きやすかった。さらに上空の空気が平年よりも低く、下がり幅を大きくしているのでは」としている。
陸別町のアメダスは市街地に近い緑町から、昨年9月下旬に直線で約1キロ離れた陸別小学校近くの下陸別に移った。しばれ研が2年かけて調査し、アメダス設置の条件に合う三つの候補地を気象庁に提示し選ばれたという。空井さんは「移転の影響があるのか今後検証したい」と話している。
しばれ研は2007年から、サイト「陸別インフォメーションサービス」で1、2月の「寒さ日本一ランキング」(気象庁アメダス値、午前9時ごろまでの朝の最低気温)を公開してきた。蓄積した情報を基に、空井さんと浜田さんら4人は16年、「日本一寒い陸別町」を学術的に証明した論文を、日本気象学会機関誌「天気」に発表。寒さランキング全国1位の回数や、1、2月の日平均気温、日最低気温の平均など、独自に考えた五つの指標から導いたものだった。
しばれ研が、全国で一番気温が低かった観測点に10点、2番目に9点などとポイント化している「勝手に総合ランキング」では、07年から22年までで、日本一を逃したのは08年(3位)と20年(2位)の2回だけ。今年は今後も厳しい寒さが続く予報も出ており、浜田さんは「23年の日本一は陸別で決まったも同然」と笑う。