帯広水産食品 かまぼこ製品の製造販売を31日で終了
十勝管内で唯一のかまぼこ製造業者で、「かまぼこ絵」でも知られる帯広水産食品(帯広市、渡辺徹社長)は、かまぼこ製品の製造・販売、仕出し弁当の各事業を31日で終了する。工場設備の老朽化と、製造技術を持つ熟練社員の定年などが理由。これまでの不動産事業は継続し、新たにフランチャイズ事業などに業種転換する。
安定経営を続けてきたが、数年前から工場敷地の売却を含めた製造事業の終了を検討してきた。今年4月に管外企業への売却が決まり、関係先には5月初旬に通知している。帯広地方卸売市場内の売店は9月中旬に閉店する。
同社は渡辺社長の父亘さん(故人)が1952年、帯広市西2南7に、前身となる「渡辺蒲鉾(かまぼこ)店」を創業。69年に株式会社化して帯広水産食品となり、現在の西22北1に移転した。
亘さんはかまぼこを絵画風にした作品を制作し、職人が味と技を競う「全国蒲鉾品評会」に30回以上出品。最高賞の水産庁長官賞など数々の賞に輝き、「かまぼこの達人」として話題を集めた。
長年、地元のイベントにも出店し、すり身をはんぺん状に加工してチーズに練り込んだものをソーセージに巻き付けた「チーズはんぺんドック」などが愛されてきた。工場ではさつま揚げなど25種類の商品を製造。6年ほど前から仕出し弁当も扱ってきた。
9月16日から事務所を西2南7に移し、不動産の賃貸経営を続ける。渡辺社長は「十勝の皆さまには親しんでもらい、感謝している。(製造終了は)申し訳ない思いもあるが、新しい形で地元に貢献していきたい」と話している。(大海雪乃)