帯広市「企業版」検討 十勝唯一ふるさと納税赤字
帯広市は、自治体に寄付した企業が税優遇を受けられる「企業版ふるさと納税」の導入を検討している。人口対策など地方創生の事業を想定し、制度活用の前提になる地域再生計画づくりの調査を進めている。個人によるふるさと納税で市は、寄付の受け入れ額から市税の控除額を差し引くと「赤字」が続いており、新たな自主財源の確保を図る。
時期は未定
企業版ふるさと納税は、応援したい自治体に個人が寄付すると税負担が減る「ふるさと納税」の企業版。地方創生に積極的に取り組む自治体に企業が寄付した際に、法人住民税や法人税などの税額控除で、6割分の税負担を軽減する。
個人版は応援したい自治体に自由に寄付できるが、企業版の対象は政府の認定を受けた地方創生関連事業に取り組む自治体に限られる。
17日の市議会一般質問で上野庸介氏(市政会)は、税収減が寄付の受け入れ額を上回る「赤字」が続く市のふるさと納税の現状を指摘し、企業版の対応について質問。関口俊彦政策推進部長は、地方創生の取り組みには市外の企業や人材とも連携した取り組みが大切だとし、「企業版ふるさと納税は、人口対策の効果的な推進に寄与する。制度の活用に向けた検討をしている」と導入に前向きな姿勢を示した。
総務省のふるさと納税の現況調査(2019年度)によると、管内自治体では帯広市のみが赤字だった。魅力的な地場産品がある自治体に寄付が流れ、都市部は減収になるケースが多いものの、赤字幅が前年の6766万円から9003万円に拡大するなど課題となっている。
市では今春の組織再編で、ふるさと納税の担当部署を政策推進部から経済部に変更。ふるさと納税サイトの内容を拡充させ、高所得者向けに寄付単価の高い返礼品を導入するなど対策を進めている。
一方、企業版ふるさと納税の検討は、寄付控除が拡充され、制度活用の前提になる「地域再生計画」の認定が簡素化されたことが背景の一つ。
導入時期は決まっていないとし、市の関係部署や東京事務所が連携して進める方針でいる。
管内自治体では、音更、広尾、大樹などで企業版ふるさと納税を導入、対象事業が認定されている。(安田義教)