スマート農業 協議会始動 更別 規制の枠超え無人化実証へ
【更別】AI(人工知能)やロボットを使い省力化するスマート農業の実現に向け、大学教授や研究者、企業などでつくる「更別村スマート産業イノベーション協議会」が14日、発足した。無人トラクター走行や自動航行によるドローン(小型無人飛行機)の農薬散布を目指し、研究・実証実験を進める。
協議会はドローン販売の「エアステージ」、NTTドコモ、農研機構北海道農業研究センターなどで構成。村が事務局を担う。会長は、村内の岡田農場のほ場で作物生育のビッグデータの収集、研究をする東京大学大学院の平藤雅之特任教授が選ばれた。
今年8月に、村が道、岩見沢市と共同で提案した事業が内閣府の「近未来技術等社会実装事業」に採用されたことを受け発足。2020年度までの事業で、畑作を村、稲作は岩見沢市をフィールドに遠隔監視による無人トラクターの実証実験を実施。ビッグデータをドローンに活用し、農薬散布や生育状況の把握などを行う。各府省庁と関係機関による協議会が11月に発足する予定で、今後の具体的なスケジュールを決める。
村では農家戸数の減少に伴い1戸当たりの作付面積は約50ヘクタールと拡大し、将来的な担い手不足が課題となっている。スマート農業の実現は必至だが、無人機での公道走行の禁止や通信での電波法、ドローンの目視外飛行の禁止などさまざまな法規制が壁となっていた。実装事業を進めるに当たり、これらの規制が撤廃、緩和されることで幅広い研究が可能となる。村が申請中の国家戦略特区の指定も引き続き働き掛ける。
14日は協議会のキックオフ会議が村ふるさと館で開かれ、平藤特任教授は「十勝は農家のICT(情報通信技術)への関心が高く研究がしやすい場所。今後は本州の見本になれば」と述べた。ロボットトラクターの開発研究を進める北大大学院の野口伸教授は「AIやロボットの融合による農業の『ソサエティ5・0』を実現するプログラム。日本の新しい農業を実現するための拠点になる」と話した。
(高津祐也)