広小路商店街で50年 婦人服の「こうえい」閉店
帯広・広小路商店街で1968年から営業を続けてきた婦人服販売店「こうえい」(西1南8、高田嘉純社長)が、4月末で50年の歴史に幕を閉じる。「本当は続けたいが、年齢的にも体力的にも厳しくなった」と高田社長(81)。長年、店に立ってきた妻の和子さん(75)は「お客さんと会えなくなると思うと寂しい」と話している。
高田社長が15歳の時、先代が現在の場所に「高田呉服店」を開店。東京の大学に進み、ファッションの流行などを肌で感じて帰郷した高田社長は「これからは既製服の時代。60~70代をターゲットに婦人服を販売する」と一念発起し、父の呉服店を畳み、長く繁盛するようにと「永栄(こうえい)」と命名して店を創業した。以後、時代に合わせた服を豊富に取りそろえ、地域の人たちから愛されてきた。
店には長年、和子さんと前田純子さん(65)=勤務歴約40年=が立ち、10年ほど前からは高田社長が病気で店に出られなくなる中、2人で現場を切り盛りしてきた。
高田社長は閉店について「本当は続けたいが、後継ぎもおらず、年齢・体力的なこともあって話し合って決めた」と話す。和子さんは広小路を50年間見続けてきて「かつては人がにぎわい、夏になると七夕飾りがきれい。本当にいい商店街だった」と振り返る。
同店は4月末の閉店後も在庫がなくなるまで販売は続ける。前田さんは「独身の頃から世話になり、お客さんに元気をもらいながらこの年まで育ててもらった。たぶん、寂しいとかいう感情は終わってから。今はまだ、がむしゃらに働きます」と笑顔を見せる。
(牧内奏)