日勝峠28日解除 全線対面通行 ICT活用で工期短縮
【札幌】道開発局は24日、国道274号日勝峠の通行止めについて、28日午後1時に解除すると正式発表した。昨年の台風被害で甚大な被害を受け、通行止めになっていた日勝峠は約1年2カ月ぶりに上下とも全線対面通行で再開する。
日勝峠の通行止め区間は日高町千栄~清水町清水の延長36・1キロ。被害は道路欠損、橋や覆道の損傷など計66カ所におよんだ。
道開発局は被災後から、今年秋の開通を目標に復旧工事を進め、上空から被害状況を把握するドローンや3次元レーザープロファイラーなどのICT(情報通信技術)を道内の災害現場で初めて導入。被災箇所の状況や起伏を正確に図面に起こし、盛り土や切り土の工事を行った結果、これまで200日かかっていた工期が30日に短縮した。このほか、濃霧の際にも監視員を配置せずに作業を進めることができたなど、ICTによって全般的に効率化が図られたとしている。
再開日は、23日の台風21号の接近に伴う影響を考慮し、24日朝に最終決定したという。
1年2カ月ぶりの全線開通について和泉晶裕局長は「日勝峠は道央と道東を結ぶ大動脈であり、多くのトラック輸送が通過するため、未曽有の災害は北海道の社会経済に大きな影響を与えた。北海道の道路ネットワークの脆弱(ぜいじゃく)性が露呈したと実感する。改めてネットワーク整備が重要だ」と述べた。
再開に伴い、気象観測装置を3基から4基に、カメラ(CCTV)を25基から27基に、積雪計を3基から6基にそれぞれ増設し、降雨や積雪などの監視体制を強化する。(道下恵次)