「山女魚園」8カ月ぶり再開 台風10号で釣り堀被災 清水
【清水】昨夏の台風10号災害で被害を受けた町内の「御影の滝 山女魚園」(町御影南7線、太田博樹代表)が29日、被災から8カ月ぶりに、釣り堀と園内のそば店「紀山」の営業を再開した。ただ、池に水を引く芽室川が再び濁る恐れがあるため、本格的な河川災害復旧工事が始まるゴールデンウイーク明けの営業は未定。困難な状況下で再開に踏み切った太田代表は「御影を再び盛り上げたい」と願っている。
御影出身の太田代表(47)はアイスホッケー日本リーグで活躍し、引退後に故郷へ。父の故雄二郎さんが1972年に創設した園を引き継ぎ、芽室町のそば店「紀山」店主だった故山田紀夫さんから学び、そば店も開いた。ヤマベやニジマスの養殖や釣り池が50カ所あり、地域に伝わるソバ「御影原種」を15ヘクタールで栽培、自家製粉で園内と芽室の店で提供している。
昨年8月末の台風災害では、施設に被害はなかったが、芽室川の氾濫で池に土砂が流れ込み、大量の魚が死滅した。取水口が塞がれた影響で養殖や釣り池は枯れ、ソバの収量も例年の3分の1に。魚だけで被害は800万円に上った。休業中に地下水を使って小屋の中で稚魚を育て、芽室のそば店のみ営業を再開した。
池底に沈殿した汚れは少しずつ除去したが、完了まで5年かかるとされる河川や橋梁などの復旧工事で、重機が再び川をかき乱す懸念もある。太田代表は「自然と密接な関係にある仕事。川が元の姿を取り戻すまでの長い時間、向き合っていくしかない」と話す。
釣り堀は親子連れが多く訪れ、地元でアイスホッケー少年団も指導する太田代表は子どもたちへの思いが強い。周辺の農家も困難な状況下で営農を始める中、「子どもたちのためにも、大人が負けていられない」と大型連休に合わせた再開を準備してきた。連休中は芽室のそば店は休業し、御影の営業に専念する。
近くの水津農園産朝採りアスパラの天ぷらそば(1400円)を提供する。太田代表は「地元の味や魚を楽しんで。家族連れで御影に遊びに来てほしい」と来園を呼び掛けている。
釣り堀は午前8時~日没で2時間1000円から。釣り具のレンタルもある。そば店は午前11時からなくなり次第終了。連休中は無休、5月18日以降の営業は状況次第。問い合わせは同園(0156・63・2533)へ。(小寺泰介)