バス補助金の上限引き下げ検討 国交省が来年度から
国土交通省が全国の赤字バス路線に対する補助金の上限額を、2018年度分(今年10月から来年9月まで)から、運行費用の45%から40%とする案を検討している。増収させれば補助を増やす仕組みも新たに設け、収益性の高い路線運営を促す狙いだが、事業者からは「人口減少で利用者が減る中、収益改善は簡単ではない」との声が上がる。沿線自治体は地元負担の増加を懸念している。
補助金は複数の市町村を結んでいる地域の生活路線の赤字分について、運行費用分の45%を上限とし、国と道で2分の1ずつ負担する制度。限度額を超えた分は沿線の自治体が補っている。
国交省によると11年度に全国約72億円だった補助金の交付総額は、16年度は約92億円に増加。管内バス会社の17年度補助金内定額は十勝バスが対象6路線で約2億1600万円、北海道拓殖バスが対象8路線で7660万円。引き下げが検討される18年度補助金は試算中のため影響額は定かではないが、十勝バス、北海道拓殖バスともに3路線が引き下げ対象路線になると想定されている。
現在国交省が各運輸支局ごとに、路線バス事業者に向けて説明会を行っており、道内では3月6日に道運輸局(札幌)で開催。(1)2018年度分の補助金からの引き下げ(2)収益を改善させた事業者に対し補助額を増やす-といった案を検討していると説明。国交省は収益の改善に対する補助金の上乗せの詳細や上限引き下げの正式な通達は行っておらず、「正式決定の時期は未定。旅客と小荷物を同時に輸送する貨客混載など、収益を上げるために生産性の高い路線づくりを検討してほしい」としている。
一連の説明を受け、十勝バスは「JR撤退後の転換バスとして走っている路線もあり、補助金の縮小は厳しい」、北海道拓殖バスは「収入の改善というが、人口が減少している地域では当然バスの利用者も減る。地域の路線を維持するという流れとは逆行した制度に感じる」とする。管内東部の自治体の担当者も「補助減額分のしわ寄せは最終的に利用者や市町村にきて、地元の負担額が増えるのではないか」と引き下げの影響を心配している。
(中島佑斗)