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「生きた証し残したい」 娘への思い本に 音更美容師殺害事件

「恵里香の生きた証しを残したい」-。娘への思いを一冊にした母の恵子さんと父の恒男さん

 【音更】「恵里香が生きた証しを」-。音更町柳町の美容師、金野恵子さん(63)が、昨年8月に殺害された愛する娘への思いをつづった本「恵里香へ」を12日に自費出版した。15日に始まる裁判を前に、生きる喜びや命の大切さを感じてほしいと願っている。

 「私に子どもが生まれるなんて。(中略)感謝の気持ちで胸がいっぱいになったことを今でも昨日のことのように覚えています」。本には妊娠が難しい状態で恵里香さんを出産したときの恵子さんの喜び、スケートなどに熱中した子ども時代、札幌で修業を積んだ後、親子で共にはさみを握った日々が描かれている。

 事件後に検事から事情を聞かれるようなったことを機に、書き始めた手記を基にした。恵子さんは全国で繰り返される事件を悲しみ、「人一人が亡くなれば、どれだけの人が悲しむのか知ってほしい」と出版を決めた。完成した最初の本は仏壇に飾り、遺影の中でほほ笑む娘に報告した。まだ気持ちの整理がつかず、納骨はしていない。

 「きんちゃんの笑顔に会いたい」。高校時代の同級生や会社の同僚、社会人でよく遊んでいた地元の“あくの強い”仲間、通称「あく会」のメンバーからのメッセージも載せた。300部出版。一冊1000円(税別)。帯広市内のザ・本屋さん、岡書帯広イーストモール店などに並ぶ。

 一方、殺人など4つの罪に問われた元会社員少年=逮捕時は19歳=の裁判員裁判が15日から釧路地裁で始まる。父の恒男さん(63)は「(元会社員少年に)本当のことをいってほしい」と話している。(高津祐也)

<天国の恵里香へ(母・恵子さんの文章から一部抜粋)>
 きっと貴女(あなた)のことだから天国で大きな美容室を経営していることと思います。お母さんもいずれそちらへ行くと思います。その時はお母さんもスタッフの一員として貴方の美容室で働かせてね。それまではこの世で貴女の残したFesHair(フェスヘアー)を守っていきます。見守っていてくださいね。

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