「通えない」生徒 市内高校が宿泊受け入れ 新得、清水JR運休
JR根室線新得-芽室間の長期運休で新得、清水両町から帯広市内の高校に通う生徒の通学が困難になっている問題で、市内の一部高校では校舎や敷地内の施設を利用し、生徒の宿泊を受け入れている。災害による生徒の宿泊は前例のない対応だが、学校では教諭らが交代で夜間見回りを行うなど、生徒の安全確保に務めている。
JRは7日に通学代行バスの運転を始めたが、ダイヤや本数が少なく、放課後の部活動や講習に出られない生徒が多く出ている。
帯広南商業高校(我妻公裕校長、生徒597人)は、5日夜から両町在住の生徒を対象に宿泊の受け入れを始めた。校舎に併設し、部活動の合宿などで利用する「セミナーハウス」を活用している。
きっかけは8月に相次いだ台風でJRが運休し、通学できない状態が続いたこと。台風10号の影響による道路の通行止めもあり、車でも両町からは片道約1時間と保護者の送迎にかかる負担も課題となっていた。
15日までに利用した生徒は計6人。生徒は布団や風呂、洗濯機はハウス内の設備を利用し、食事は外食やコンビニでの購入など。夜は勉強などをして過ごし、畳の部屋で眠る。安全確保のため、教員が交代で泊まり込みの舎監を務める。
利用する女子生徒(新得町在住)は「今までは家に帰るのも大変で、友人宅に泊めてもらうときもあった。部活動は大会も近く、参加できるのはありがたい」と話す。
帯広大谷高校(大西正宏校長、生徒773人)も10日から、両町在住の生徒を対象に宿泊を受け入れる。
送迎などが困難な保護者の相談を受けて実現。生徒は畳敷きの「礼法室」を活用し、寝泊まりしている。校内には洗濯機はあるが風呂がないため、生徒は近隣の入浴施設を利用。夜間は男性教諭が見回る。
こうした対応は前例がないが、授業や部活動に支障が出ないよう教職員会議で検討し、理事長に相談した上で決定した。
大西校長は「提案は現場の先生からあがり、迅速に体制が整えられた。生徒の安全確保を第一にしていく」としている。(松田亜弓)