アスペルガー症候群の本間さん、ベトナムで体験講演
広汎性発達障害の一つ、アスペルガー症候群の診断を受け、不登校を経験している本間崚(りょう)さん(15)=星槎高校帯広キャンパス1年=は、ベトナムで2日に開かれた自閉症セミナーの講師として招かれ、相手の表情を描き出す手法で不登校を克服した体験を100人以上を前に話した。重度の障害児らが暮らす現地の施設なども視察し、本間さんは「いい経験になった。障害で苦しいこともあるが、しっかり前を向いて生きていこうと決意した」と話している。
セミナーは障害を持った生徒が通う学校(日本での特別支援学校)の校長らが主催し、ベトナム・ホーチミン市で開かれた。帯広からはNPO法人「ほっと・ぷらっと」の笠原力さん(54)が同行した。
本間さんは昨夏、統合失調症などの患者らによる「当事者研究全国交流集会」(日高管内浦河町)で自分自身の研究成果を「自分はダメだパニックの研究」として発表。ベトナムのセミナーを支援するNPO法人「ACHAN JAPAN」(愛知県)の額公一理事長が本間さんの発表に注目し、講師を依頼した。
本間さんは14歳で不登校になり、心配する父との関係が悪くなるなどして入院。当事者らが自らを研究対象にしてアドバイスし合う帯広での当事者研究に参加、「父がなぜ怒る」をテーマにし、怒った時の父の顔を描き続けることで「相手も困っている」「被害者と思っていた自分が加害者の面がある」と気づき、学校に行けるようになった。
ベトナムでのセミナーでの発表は日本語で行った。「緊張したが、自分が伝えたい事は言えた」と本間さん。笠原さんも「堂々としていた。終了後、現地の参加者に囲まれ、質問されていた」と話していた。
3月30日から4月4日までのベトナム訪問中、現地の障害児が通う学校や、寺院が運営する重度障害者の施設なども見学した。本間さんは「特に寺院で水頭症のため寝たきりの子どもが何人も横たわり、ボランティアから食事介護を受けていた場面に衝撃を受けた」と話していた。(佐藤いづみ)
広汎性発達障害の一つで、相手の表情が読み取れないなどの傾向が見られる一方、特定分野の知的能力が高い例もある。
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