清水・御影の「レストラン風車」 今月末で閉店へ
【清水】国道38号沿いで風車形のユニークな店舗で知られる「レストラン風車」(町御影)が今月末で閉店する。肉牛生産の農業法人「コスモス」(町御影、安藤登美子社長)が直営で、同牧場のオリジナルブランド「十勝ぼうや牛」などの料理を提供してきたが、自社生産牛の発信に一定の成果を上げるとともに、新たに和牛肥育へのチャレンジも控え、本来の肉牛生産に集中する。
同レストランは2012年12月、旧ドライバーハウス風車跡に、コスモス子会社の「風車」がガソリンスタンド(GS)も併せて開設。JA十勝清水町の「十勝若牛」とともに、当時、提供店が少なかったブラウンスイス種を育成した自社ブランド「十勝ぼうや牛」を自ら消費者に発信していくのが狙いだった。風車型の建物は旧ドライバーハウス時代から30年間にわたり国道沿いのランドマークとなり、「道の駅」的な役割を果たしてきた。
14年、安藤社長の長男智孝さんが経営に参画し、風車社長にも就任。GS経営からの撤退を決め、来年の農業法人設立30年に向けて経営の方向性見直しに着手した。同年には管内の肉牛牧場で初めて飼養衛生管理システム認証「農場HACCP(ハサップ)」を取得しており、智孝さんは「100年後もこの地域で牛と共に生き、地域に必要とされる企業でありたい」との理念に立つ。
智孝さんは「『十勝ぼうや牛』は札幌や東京のシェフが注目し、利用してくれている。同時に、肉のおいしさを一番に引き出すのは料理一筋の人たちにはかなわない。自分たちの使命は安全で良質な肉をつくること」と判断し、レストラン経営から身を引くことにした。同時に、同牧場では黒毛和牛の繁殖と肥育にも取り組むことにしており、15日に和牛第1号となる1頭が生まれたばかり。
風車は、商品販売やイベント事業などは引き続き行う。智孝さんは「次のステップのための選択。長年、レストランを利用していただいたお客さまには申し訳ない」と話している。これまで開放してきた24時間トイレや駐車スペース、店舗などの取り扱いについては土地・建物のオーナー側で検討中としており、今後の利活用も注目される。
(大野篤志)