市街地で目撃相次ぐクマ、親離れの子グマ里に迷い込む
【音更・芽室・中札内】5月以降、市街地でのクマの目撃や足跡の発見情報が相次ぐ3町村。いずれも被害はないが、地域住民には驚きと不安が広がっている。識者の中には、「親離れしたばかりのクマが“クマ社会”で生きるために人里に迷い込んだ」との見方もある。
芽室町では5月1~8日に、坂の上、北伏古、帯広の森周辺で足跡が10件以上発見された。道警はヘリを出動させて付近を捜索。近隣の小・中・高校やスポーツ施設では、正面玄関に張り紙を掲示したり、保護者に文書やEメールで伝達したりした。
中札内村では同29日、上札内小学校の敷地内を子グマ1頭が闊歩(かっぽ)。同校は急きょ、運動会の練習場所をグラウンドから体育館に変更するなど対応に追われた。音更町では7日朝、住宅街に近い木野市街地で複数回にわたりクマが目撃された。
クマの生態に詳しい道立総合研究機構(札幌)の間野勉環境・地質研究本部企画課長によると、5~7月は発情期を迎えた親クマが満1歳を迎えた子グマと子離れする時期と重なるという。「母クマから離れたばかりの子グマは“クマ社会”の中で最も地位が低い。他のクマに襲われないよう、クマの目を避けて迷い込んだ先が市街地だったのでは」とみる。
間野課長は「子グマに人を襲う目的はない」とした上で、「付近住民は不安に思うかもしれないが、広域の市町村で連携し、冷静に対処することが大切」と指摘。対策としては「クマの侵入経路を検証し、クマが移動に使う防風林の一部の伐採や電柵の設置などが考えられる」としている。(関根弘貴、高津祐也)