民謡続け60年、幕別の九本さんに道連「大功労章」
【幕別】道民謡連盟最高師範で郷土民謡創作研究家としても知られる九本栄一さん(83)=幕別町札内みずほ町=に、道民謡連盟(峯村孝会長、札幌)から「大功労章」が贈られた。長年の活躍、功績が認められた。民謡歴60周年の節目での受章に九本さんは「長く続けたご褒美でしょうか。今後も民謡道にまい進し、少しでも長く社会に貢献したい」と喜んでいる。
同章は66年間で十数人しか受けておらず、十勝では約35年前に国井清蔵さん(士幌)に没後、授与されて以来という。2月22日に札幌市内で開かれた道連総会で表彰された。
九本さんは1932年、幕別町内の水田農家の10人兄弟の跡取りとして生まれた。農家を継いだ後、52年に帯広の浪曲学校に入門、55年から民謡道に打ち込んだ。59年に講師となり、管内中心に民謡の「友の会」を立ち上げた。郷土民謡の創作にも力を入れ、「どさんこ甚句」(73年)など14曲を発表。最近では、同町パークゴルフ(PG)30周年で作った「PG音頭」が、町によってCD化され話題になった。
道連では86年最高師範となり、2009年から顧問。資格認定委員長も経験、50年以上総会や大会に参加し続けている。十勝文化会議の「十勝文化賞」(06年)や十勝馬唄保存振興会全国大会「特別大功労賞」(13年)といった地域での功績と合わせての栄誉。
1970年代の民謡ブーム時には400人以上の生徒を教えたという。「ねたまれ、中傷されたこともあったが、好きだから諦めず進んで来られた」と語る。現在も教室で指導に当たり、三味線での弾き語りは300曲以上が頭に入っているという。「好きな民謡を続けていることが健康の秘訣」と笑顔を見せる。
4月12日には民謡関係者で祝賀会も予定されている。現在、新曲を創作中という九本さんは「民謡に完成はない。判断力や創造力、好奇心がある限り、日々精進し続けたい」と創作意欲に衰えはない。(佐藤いづみ)