長雨で小麦受粉心配 牧草刈り取り遅れも
6月初旬までの干ばつから一転しての長雨に、十勝の農家が困惑している。畑作では小麦の受粉への影響や、防除(農薬散布)作業の遅れを心配する声が出ている。酪農でも牧草の収穫が遅れ、栄養価の低下が懸念されている。
帯広測候所によると、帯広は6日から20日まで15日間、降雨が続いている。今月の累計降水量は現時点で80ミリに達しており、6月全体での平年の降水量75・5ミリを既に上回っている。
小麦は6月上旬から各地で開花が始まり、受粉する時期に当たるが、雨で花粉が飛ばず、受粉への影響を心配する農家もいる。音更町内で小麦11ヘクタールを栽培する畑作農家の中橋晴樹さんは「心配はしているが、実際に受粉にどの程度の影響が出るかは分からない。遅い物では、まだ花が咲いている小麦もある。雨もずっと降っていたわけではないので、その間に受粉してくれれば」と話す。
昨年、十勝を含めて道内各地で発生した「赤さび病」などに対する防除の遅れを心配する声も。中橋さんは「今が一番、病気に気を付けなければいけない時期。(21日からは天気が回復予報なので)挽回(ばんかい)できる見込みはある」と期待する。
牧草の収穫は地域によって生育の早さが異なるが、最も早い鹿追町では4日に収穫を始めたものの約2週間、刈り取りが止まっている。作業を請け負うJA鹿追町コントラ課の寺嶋博晃課長は「1950ヘクタールのうち317ヘクタールしか収穫できていない。収穫遅れで栄養価の低下が心配」という。
20日に農作物の生育状況を公表した十勝総合振興局は「小麦の受粉への影響は何とも言えない。長雨は作物の生育そのものに大きな影響はない」(農務課)とみている。(眞尾敦)