十勝唯一のお人形感謝祭 音更神社 まちマイ 音更編
幼い頃に手にした人形を手放さなければならなくなったとき、誰もが心残りになるだろう。一緒に過ごした時間が長く、愛着が深いほどその思いは強い。音更神社(佐々木敬宮司)には、そんな持ち主の思いをくんだ祭事「お人形感謝祭」がある。
この祭事は「人形供養」として知られ、十勝管内の神社では音更神社が唯一。明治神宮が1989年に始めたのを知った佐々木宮司が「十勝でも人形供養を」と準備を進め、93年から始めた。毎年3月3日の「ひな祭り」に合わせて行い、今年で22回目を迎える。
厄払いなどの神事で使う「人形(ひとかた)」には、罪や汚れを代わりに載せてくれるという伝えがある。現代の人形も一緒に過ごすことで魂が宿り、「手放すときには供養するのが望ましい」というのが考え方の根底だ。人形の最後を祭るため、祭事には人形から魂を移す「遷霊(せんれい)」という儀式もある。
98年ごろまで魂を移し終えた人形を境内で炊(た)き上げていた。だが、ナイロン製の人形が多かったため、火柱や黒煙が立ち上がったという。今は環境に配慮し、祭事後に地元の産廃業者に引き渡している。
佐々木宮司は「一緒に育ち、お世話になった人形に感謝の気持ちを贈っては」と話している。初穂料は3体まで3000円以上、4体以上は5000円以上。
問い合わせは同神社(0155・42・2170)へ。(杉原尚勝)