小さな命守り5周年 帯広の猫カフェ「ウィッシュ」
捨て猫の里親探しに取り組む猫カフェ「Cat Cafe Wish(キャットカフェ・ウィッシュ)」(帯広市東2南2、原田美加代表)が、27日にオープン5周年を迎える。これまでに533匹の猫を保護し、約450匹が新たな飼い主に引き渡された。1人での切り盛りで経営は厳しいままだが、原田代表は「皆さんの支援があっての5周年。1匹でも多くの命が救われることを願い、今後も運営を続けていきたい」としている。
同カフェは、捨て猫が殺処分される前に引き取って救いたいとの思いから、古書店だった建物を改装して2008年に開店。店内には猫と触れ合うスペースが設けられ、客は気に入った猫がいれば原田代表と面談して飼い主になれる。
現在、同カフェで暮らす猫は81匹。引き取った際に病気持ちの場合もあり、血液検査やワクチン接種など医療費を含めて月に20~30万円は掛かるという。冬は暖房費がかさむため、11月に入って入場料を30分(通常600円)、1時間(同1000円)両コースともに100円上乗せ。収益の半分を占める支援金と合わせてやりくりしている。
こうした現状を支える常連客らの存在は大きく、2年前から同カフェに通う芽室町の男性(27)もその一人。「ブログなどで里親探しや情報発信に取り組む原田さんの力になりたい」と、餌や猫草などの差し入れを欠かさない。
5年で支援の輪が広がりを見せるとともに、帯広保健所で最期を迎える捨て猫も減少傾向にある。十勝総合振興局環境生活課によると、2012年度の殺処分数は45匹(前年比39%減)で、ここ5年間で初めて2桁台になった。引き取り数も300匹前後を推移する中、同年度は210匹まで減ったという。
ただ、個人的な都合で猫を引き取ってほしい、野良猫に餌を与えるうちに子猫が生まれて対応に困ったなど、無責任な相談に訪れる来店客は少なくない。原田代表は「責任を持って終生飼育することが飼い主の役目。どうしても飼えない場合でも新しい飼い主を見つける努力を」と訴える。
同カフェの営業時間は正午~午後7時(月曜日定休)。31日は休みで、新年は元日から営業。ペットの持ち込みは不可で、未就学児の入場はできない。一般の人から直接猫を引き取っていない。問い合わせは同カフェ(0155・26・2833)へ。(小縣大輝)