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農に向き合う~農業経営部会会員紹介「帯広・ファームステッド」

長岡淳一代表

1.農場と消費者つなぐ「旗印」
 農場のロゴマークから農作物を入れる段ボール、加工品のパッケージなど、そのブランド価値を高める農業デザインが手掛ける。また農業法人や企業のコーポレイトアイデンティティ作り、ブランド作りを手助けも行う。デザインは、こだわりを持つ農家とそれを求める消費者が出会うための一つの「旗印」。長岡氏は「過剰にアピールしたいのではなく、おいしいものを作り多くの人に食べてもらいたい。そんな農家の思いを伝えていくのが僕らの得意な所。デザインで解決できる所」と事業の核になる考えを語る。祖父の時代までは音更町内の畑作農家。ブランドプロデューサーとして働く底流には農のDNAが流れている。

2.デザインの力
 「何を伝えたいかが分からなければデザインはできない。それを見つけるのが僕らの仕事」。農場に何度も足を運んで納得した上で制作するのがこだわりの一つ。「農家も作物を作るのに時間をかける。デザインは次の世代まで使われるもの。僕らも無責任な仕事はできない」と語り、完成までに平均半年をかける。新しいロゴやパッケージが目を引いて農作物や加工品の売れ行きが伸びることがあるが、デザインには目に見えない別の大きな価値がある。農場内の変化だ。「社長だけでなく従業員からも話を聞き、農業に対する思いや誇りを形にすることで、行動が変わったり自信を持ったりする」。インナーブランディングと呼ばれる内なる変化もデザインの力だ。

3.同友会で事業の幅広がる
 まだ自社の事業がアパレルや飲食が中心だったころから、農業と何かかかわりたいと考えていた。服の買い付けで訪れた米国で、デニムの作業着を颯爽と着こなす年配の農夫を見た。「格好良かった。十勝でもやりたい」。当時は農業者の知り合いが少なくて形にできないもどかしさがあったが、同友会の農業経営部会に入ったことで相談相手が一気に広がった。デザイン性に優れた農作業着のニーズが十勝にもあると感じ、実際に商品化につながった。「高い志で集まっている人が多く、いろいろと話を聞くことができた。農場のロゴマーク作りなど今の事業に与えた影響はかなり大きい」と振り返る。

4.農業者のネットワーク作りが目標
 デザインを手掛けた農場は北海道内はもちろん、南は沖縄まで、台湾やタイなど海外にも及ぶ。月の多くは帯広を離れ、顧客との打ち合わせに全国各地を転々とする日々。「全国にはまだまだ思いを持って農業を行い、自分のことを伝えたい人たちがいるはず。その人たちともっともっと知り合い、話を聞いて思いを伝えていきたい」と意欲的だ。今後は100件を超す顧客が横のつながりを持てるようなネットワークづくりの構想を持っている。「農業者が自分たちを表現できるプラットフォームを作りたい」と夢を語る。


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