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「パン王国」実現へ準備室 食べ方提案、麦音拡張 満寿屋商店

新たな十勝産小麦のパンの食べ方「パンベキュー」をPRする杉山社長(中央)と大川原典宏室長(左)、深尾雅人準備室次長

 満寿屋商店(帯広市、杉山雅則社長)は30日、新たな部署として「とかちパン王国準備室」を9月1日に設立したと発表した。同社のビジョン「2030年十勝がパン王国になる」を具現化するため、準備室では基幹店舗である麦音の拡張や、新しいパンの食べ方の提案などを進める。他にもイベントを企画し十勝産小麦そのものの魅力やパンのPRを続け、王国実現を目指す。

 「パン王国」は2010年に杉山社長が、「消費者・農家・パン屋の全員が幸せになれる地域を作りたい」と掲げたビジョン。パン用小麦の生産量や、地域住民のパン消費支出額などに、それぞれ5万トン・1日50円といった数値目標を設定して実現を目指してきた。

 特に食育活動に力を入れ、麦音の敷地内にイベントを誘致しパンをPR。今年7月にはバスの移動販売車を導入。子どもの買い物体験などを実施中。一方で、十勝産小麦そのものの魅力は十分に浸透していないと考えていた。

 麦音の拡張は25年を予定。パン王国のテーマパークのような存在となることを目指し、麦音の南側、日本甜菜製糖の土地を借用し、現在1・2ヘクタールの敷地を3ヘクタールに拡大。店舗の隣に新館を建設し、食の体験や食べ方の提案のためのスペースを設け、現状30万人から、店舗全体で年間100万人の来場を目指す。

 準備室では、十勝産小麦の魅力発信のために新たな食べ方も提案する。再加熱時の味わいが良いという十勝産小麦の特徴を生かし、パンをあぶってチーズやスープに浸して食べる「パンベキュー」を考案。10月29日のイベントで披露し、来春以降は麦音のレギュラーメニューに加える方針。

 杉山社長は「12年間助走を続け、十勝産小麦のパンの知名度を上げることができた。新しい食べ方の提案で小麦自体の価値を上げ、パン王国の実現につなげたい」と話した。(吉原慧)

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