伊福部音楽 改めて脚光 映画「シン・ゴジラ」大ヒット
映画「シン・ゴジラ」の大ヒットで、音更町ゆかりの音楽家伊福部昭(1914~2006年)が改めて脚光を浴びている。映画では伊福部が作曲したゴジラのテーマ曲をはじめ、SF特撮映画の楽曲を全てオリジナル音源で使用。サウンドトラックCDの売り上げが好調な他、同町図書館2階の伊福部昭音楽資料室を訪れる人も増えるなど、十勝でも「伊福部音楽」への関心が高まっている。
資料室の来館者増CD販売好調
同映画の音楽は音楽プロデューサーの鷺巣詩郎氏が担当。伊福部の楽曲は、おなじみの「ゴジラ」をはじめ、「キングコング対ゴジラ」「宇宙大戦争」などが要所で登場し、高揚感を盛り立てている。
映画は7月29日の上映から既に2カ月以上のロングラン。全国では10月2日までに興行収入75億円を突破し、帯広市内のシネマ太陽帯広(西3南11)でも今月28日までは上映が決定済みとなっている。3回見たという市内の会社員辻上敏広さん(60)は「非常に良い場面で伊福部さんの音楽が使われている。ゴジラ好きにはたまらない」と興奮気味に話す。
市内のCD SHOP WAVE WOW店(西4南29)では、7月30日に発売されたCD「シン・ゴジラ音楽集」の特設コーナーを設置。「問い合わせが多く、サウンドトラックとしては異例の売れ行き」(斎藤誠店長)と驚く。映画を見たスタッフの斉藤由貴さん(34)は「音楽が特に重要な要素。初代ゴジラのテーマ曲が効果的に使われている」と力を込める。
音更町図書館内の伊福部資料室にも、映画の公開以来、訪れる人が徐々に増えている。同資料室には氏が作曲した楽譜や友人に宛てた書簡など関連資料700点を展示。このうちゴジラ音楽の関係では「ゴジラ交響ファンタジー」と題したCD20枚、ファンから贈られたゴジラのフィギュアなどがあり、歴代のゴジラ音楽の視聴も可能だ。
「伊福部は歌劇などの舞台音楽でも才能を発揮しており、映像と結び付いたとき、単なるBGMの枠を超え、映像をしのぐ説得力を持つ。ゴジラ音楽はその究極」と、伊福部昭音楽顕彰会(音更)の青山昌弘事務局長。同図書館でも「伊福部音楽を知るいい機会にしてほしい」と、より多くの来館を期待している。
同資料室は図書館受付で申し込めば見学できる。問い合わせは電話0155・32・2424へ。
(松村智裕、鈴木裕之)
日本を代表する音楽家。幼少期を音更町で過ごした。生涯で300本以上の映画音楽を手掛け、ゴジラシリーズでは初回の「ゴジラ」(1954年)から十数本を作曲した。2003年に文化功労者に選ばれている。