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堆肥舎整備後の堆肥成分変化と飼料用とうもろこしに対する肥効

十勝農試 研究部 生産環境グループ
畜試 基盤研究部 飼料環境グループ

1.試験の目的
十勝地域における堆肥舎整備後の堆肥等(堆肥(水分84%未満)およびセミソリッド(水分84~87%))の養分含量および雑草種子の実態を明らかにし、既往の養分推定式を検証する。また、飼料用とうもろこしに対する性状の異なる堆肥等の単年施用時の窒素肥効を明らかにする。

2.試験方法
1)十勝地域の堆肥等の特性
①十勝西部と中央部の酪農家の堆肥およびセミソリッド89点を採取し、水分含量、肥料成分含量(全窒素(T-N)、リン酸、カリ、アンモニア態窒素(NH4-N)等)、腐熟度を調査。②同試料を用いて、電気伝導度(EC)と乾物率による肥料成分含有率推定式(家畜ふん尿処理・利用の手引き2004)、および0.5M塩酸振とう抽出法を用いたリン酸およびカリ含量の簡易推定法を検証。③堆肥等の雑草種子量調査。
2)飼料用とうもろこしに対する堆肥等の窒素肥効評価
十勝地域の酪農家および堆肥センターの堆肥等の計40点を現物5t/10a単年春施用し、飼料用とうもろこし(品種の早晩性:早生の晩)に対する窒素の肥効を評価。

3.成果の概要
1)採取した堆肥等の約8割は水分80%以上で、4割は84%以上のセミソリッドであった。腐熟程度はほとんどの堆肥およびセミソリッドで未熟から中熟であった。堆肥の成分含量の平均値(現物当たり)は、水分79.5%、T-N 0.51%、リン酸0.28%、カリ0.60%であり、家畜排せつ物法施行以前の報告に比べ、水分、カリは増加、リン酸は低下する傾向が見られた(表1)。セミソリッドの成分含量は堆肥に比べ、T-N、リン酸およびカリ含量が低く、NH4-N含量が高い傾向が見られた。
2)既往の成分含量推定式は、窒素とカリでは適合したが、リン酸とNH4-Nでは適用できなかった。リン酸とカリは0.5M塩酸振とう抽出法による簡易推定が可能であり、さらに、リン酸については簡易型反射式光度計で測定することができた。
3)採取した堆肥等(主に未熟~中熟)の6割で雑草が出芽し、その量は1~18個体/現物1kgであり、主な草種は広葉ではセイヨウタンポポ、シロクローバ、ギシギシ類、イネ科ではイヌビエ、スズメノカタビラであった。堆肥等中の死滅・休眠を含む雑草種子数は農家によって変動が大きく、貯留期間が1週間以内の堆肥等では15~89個、3ヶ月以上では11~363個/現物1kgであった。貯留中の外部からの雑草持ち込みや、発生雑草の放置等により堆肥等に含まれている雑草種子が増加している事例もあり、貯留期間における雑草を増やさない管理の重要性が示唆された。
4)飼料用とうもろこしに対する窒素肥料換算係数は0.1~0.5と変動が大きかった。窒素肥料換算係数は、高水分な堆肥等ほど大きく(図1)、水分65%未満:0.15、65~75%:0.2、75~84%:0.25、84~87%:0.3と設定することで一律0.20を用いるよりも推定誤差が減少した(図2)。以上の結果および既往の成果から、飼料用とうもろこしに対する単年・春施用時の堆肥等の肥料換算法を図3に示した。

4.成果の活用面と留意点
1)家畜ふん堆肥等の適正な圃場施用に活用する。
2)本試験は十勝地域の堆肥等を用いた結果である。また、病害虫の発生については検討していない。





詳しい内容については、次にお問い合わせ下さい。

道総研十勝農業試験場 生産環境グループ
電話(0155)62-2431 E-mail:tokachi-agri@hro.or.jp

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