離着陸の安全性確認 神戸大大学院研究グループ 大樹・航空公園 自律型無人飛行船実験・3年目
【大樹】神戸大大学院工学研究科の深尾隆則准教授と学生らによる自律型無人飛行船の実験が、17日まで町多目的航空公園で行われた。同大が同公園で実験を行うのは3年目。災害時に飛行船による上空からの被災情報を自動的に収集することを目的としている。深尾准教授は「精度が高い実験を繰り返すことができて満足している。天候にも恵まれて、多くの回数をこなせた」と話している。
同大は1995年の阪神大震災以降、災害時の救助活動に関する実験や機器の開発に取り組んでいる。大樹では2006年から実施。飛行船が指示通りに直進できるかや、上空30−50メートルでの高度維持や旋回時のスムーズな動きを確認してきた。今回の実験は離着陸の安全な昇降を目的にしており、セコム科学技術振興財団(東京)の助成を受けた。
同大の飛行船は全長12メートルで、全地球測位システム(GPS)や角度計測器などを搭載。今年は飛行中のより柔軟な動きを目指し、これまで統一されていた左右のエンジンの作動を独立させた。
深尾准教授と学生4人は7月末に来町。8月4日から飛行試験を開始し、1日に4、5回実施。プログラムで自律で飛んでいる飛行船を上空40−50メートルでホバリング、20メートル付近まで降下させた後は、地上のスタッフが手動でコントロールした。独立行政法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)も協力した。
深尾准教授は「今後は乱れた風でも安定したホバリングが自動でできるよう運用性を高めたい」としている。(北雅貴)