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パラシュート作動 カムイロケット 大樹航空公園でHASTIC 前回失敗受け安全対策

【大樹】NPO法人北海道宇宙科学技術創成センター(HASTIC)は3日午前、大樹町多目的航空公園北側原野で道産ロケット「CAMUI(カムイ)ハイブリッドロケット」の打ち上げ実験を行った。昨年12月の実験失敗を受け、新たに設けた安全対策に基づいて実施。ロケットは打ち上げ十数秒後に分離、設定通りパラシュートは開き、発射点から北東100−150メートルの人のいない場所に落ちた。実験は成功した。(北雅貴)

今回の実験は、新たな安全対策の検証とパラシュートの作動確認が目的。ロケットは前回と同じモデルで全長2・9メートル、重量23キロ。超小型模擬衛星取り付けなどの技術開発要素は盛り込まなかった。
この日は20人近いスタッフほか、一般見学者や報道陣が見守る中、午前7時20分すぎに発射。ロケットは打ち上げ後10秒ほどで2つに分離。14秒後と16秒後にそれぞれパラシュートが開き、五十数秒後に地上に着いた。
打ち上げ高度は、関係者の目視では500メートルから600メートル。
終了後、記者会見したHASTICの伊藤献一副理事長は「安全に打ち上げるという目標は100%達成できた」とし、打ち上げ保安責任者の永田晴紀理事(北大大学院教授)も「安全対策の手順は固まった。今後は技術開発を進め、より高性能のロケットを飛ばしたい」と話していた。
昨年12月の実験ではロケットのパラシュートが開かないまま機体が落下。発射点からほぼ真横に設置した司令室のテントに飛び込んだ。HASTICは今年1月末、落下危険区域拡大や司令室の距離と方向を変えるなど新たな安全対策のガイドラインを策定した。

【大樹】パラシュートの開いた機体が地面に着いた瞬間、スタッフからは安堵(あんど)の表情がこぼれ、拍手が起きた。
前回の失敗を受け、HASTICは機体の分離装置を見直すとともに安全について協議。落下危険地域を前方150度から210度に拡大、司令室も真後ろに倍の50メートルに離し、発射角度を従来の88度から87度以下(今回は86度)とした。
地上だけでなく、上空の風速や風向も初めて調査。打ち上げ前に計測機器を取り付けたバルーンを高度200メートルまで上昇させ、チェックした。
さらに、前回はロケットが寒さのため分離せず、機体内部のパラシュートが押し出されなかったため、これまで氷点下5度前後で行っていた事前の耐寒テストを同40度まで下げて実施。同37度までは正常に作動することも確認した。
これら安全面で細心の注意を払って臨んだ今回の実験だけに、関係者は一様に胸をなで下ろす。
技術支援を行ったカムイスペースワークス(赤平市)の植松努社長は「祈る思いでロケットを見ていた」とし、HASTICの伊藤献一副理事長は「安全面では、ロケットを打ち上げる大学や開発者の今後の参考になるのでは。1歩下がって2歩前進したという感じだ」と話した。

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