翼最小化し胴体で揚力 JAXA 大樹で宇宙往還機の飛行実験
【大樹】独立行政法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、翼を最小化し、胴体で揚力を得る機体「リフティングボディー」型の宇宙往還機の飛行実験を町多目的航空公園で行っている。19日には5分の1の大きさの無人実験機をヘリコプターでつり下げ、着陸時の機体を取り巻く空気の流れなどのデータを取った。実験は23日まで続き、今回のデータを基に来年度、自動着陸試験を同公園付近で行う予定。
宇宙往還機は翼のあるスペースシャトルが一般的だが、翼は打ち上げ時や宇宙では必要なく、着陸時に使う。「リフティングボディー」は翼の最小化で効率化や軽量化などが期待されるが、翼で浮力を得るタイプに比べ、自動着陸が技術的に最も困難とされる。
実験機は繊維強化プラスチック(FRP)製で全長2・3メートル、重さ30キロ。JAXAは7、8月に約10日間、同公園で1回目の実験を行い、今回は最終調整と位置付けている。11日に研究者らが現地入りした。
19日は実験機をつり下げたヘリコプターが同公園から太平洋上に出て旋回、飛行中に地上からの電波の送受信や、GPS(全地球測位システム)などが正しく作動するかなどをチェックした。21日からは着陸後の滑走路走行を想定し、車でけん引後に切り離すテストを繰り返す。
JAXA宇宙基幹システム本部の中安英彦フェローは「今回のデータを東京で分析し、世界初となるリフティングボディー型の自動着陸を成功させたい」としている。(北雅貴)