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自閉症のアーティスト石村嘉成さん親子が道内初講演 作品制作も披露 豊頃

バレンを手に版画の仕上げ作業に挑戦する来場者と嘉成さん(左)

 【豊頃】自閉症の画家・版画家石村嘉成さん(31)と父和徳さん(64)=愛媛県新居浜市=による講演会&ライブドローイングが25日、豊頃町える夢館で開かれた。2歳で自閉症による発達障害と診断された嘉成さんのこれまでの歩みを親子で紹介。版画の制作過程の一部を披露したライブドローイングでは、来場者と一緒に作品を完成させた。(澤村真理子)

 町社会福祉協議会主催の「ふれあいフェスティバル」の一環で開催した。嘉成さんの来道は初めて。

 嘉成さんは1994年新居浜市生まれ。小学5年生の時に母親をがんで亡くした。高校生の頃、美術の先生に教えてもらった版画に感銘を受けて創作活動を開始、生き物を題材にした独創的な作品を生み出し、多数のコンクールで受賞歴がある。昨年、その半生をドキュメンタリーとドラマで描いた映画「新居浜ひかり物語 青いライオン」が公開された。

完成したアフリカゾウの版画を披露する嘉成さん

 この日は親子が並んで登壇し、初めに嘉成さんが自己紹介。「母は私に、周りの子に迷惑をかけないように育ってほしい、社会のルールを守ってほしいと思っていたそうです」「母のしつけは厳しかったですが、大好きな動物と過ごす時間をいっぱいくれました。動物を描きたい気持ちであふれています」と語り、「いつか“自閉症のアーティスト”ではなく“アーティスト・石村嘉成”と呼ばれたい」と締めくくった。

 和徳さんは、1歳2カ月ごろから発語がなくなり、目も合わせなくなった嘉成さんについて相談に訪れた際、行政職員に言われた「まだ小さいので様子を見たら」という言葉を「悪魔のささやき」と批判。「こう言われると親は楽になる。療育の一番大事な期間や親の危機感を奪う」と指摘した。

 小児科医の河島淳子さん(2月に死去)と出会い、独自の療育を実践してきた様子を当時の動画を交えて紹介。社会に受け入れられる子に-との思いで、「泣いてもわめいてもやるべきことはやらせた」と振り返った。「脳の障害は容易なものではない。この子どもたちの育児と教育には『適切さ』と『一貫性』『継続性』が必要で、1個でも欠けたら駄目。これを徹底して行ったとき効果が生まれる」と強調した。

 ライブドローイングでは、下絵を描いて彫った版に黒いインクを塗り、あらかじめさまざまな色をつけた和紙の上に転写する作業を来場した子どもたちや大人も体験。バレンで繰り返し擦って、アフリカゾウの版画を完成させた。完成した作品を嘉成さんが掲げると大きな拍手が起こった。

 同フェスティバルはパラスポーツ体験や抽選会もあり、160人が来場した。

関連写真

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  • 完成したアフリカゾウの版画を披露する石村さん

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  • バレンを手に版画の仕上げ作業に挑戦する来場者と石村さん(左)

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  • バレンを手に版画の仕上げ作業に挑戦する来場者と石村さん(左)

    バレンを手に版画の仕上げ作業に挑戦する来場者と石村さん(左)

  • ライブドローイングを行う石村さん(左)と和徳さん(中央)

    ライブドローイングを行う石村さん(左)と和徳さん(中央)

  • ライブドローイングを行う石村さん

    ライブドローイングを行う石村さん

  • 自閉症のアーティスト石村嘉成さん親子が道内初講演 作品制作も披露

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