最後の散髪「恩返し」30年 新得やすらぎ荘でコットンファミリー代表の清水さん
【新得】帯広市内などで美容室を運営する「コットンファミリー」(清水浩幸代表)が11日、新得町内の特別養護老人ホーム「新得やすらぎ荘」(御幸直美施設長)を訪れ、ボランティアで利用者100人以上の髪を切った。この日が30年以上続けてきたボランティア活動の最終回。新得町出身の清水代表(63)は「一回でも多くと思って続けてきた。多くの方に喜んでもらえた」と振り返った。(吉原慧)
初めてやすらぎ荘で散髪のボランティアを行ったのは、同社がまだ1店舗だった1990年ごろ。その頃、やすらぎ荘に入所した清水代表の祖母・本間ハルさん(故人)への「恩返し」として、店の美容師総出でやすらぎ荘を訪れ、希望する利用者全員を散髪。清水代表は「最初は美容師4人でのボランティアで、一人で何十人もカットした記憶がある。腕も疲れ切った」と懐かしむ。
その後も毎年実施し、コットンファミリーの店舗が増えると参加する美容師も増加。近年は20~30人ほどで100人以上の利用者を散髪してきた。利用者にとっては、髪を切ってもらうだけでなく、パーマやカラーなどのおしゃれな髪型をした美容師と触れ合うことも楽しみになっており、施設を運営する社会福祉法人厚生協会の田中雅之理事長は「利用者は毎年楽しみに待っていた。長年利用者を見守ってもらいありがたかった」と感謝する。
最終日の11日は、コットンファミリー5店から24人の美容師が参加。利用者と会話しながら、2時間ほどかけて散髪した。利用者の毛利幸一さん(88)は「すてきな髪型にしてくれてありがたい」と喜んだ。御幸施設長は「散髪で利用者の気分も明るく、笑顔になるのでありがたかった。長年の活動に感謝でいっぱい」と話す。
会社の社会貢献活動として長年力を入れてきたが、還暦を迎えた清水代表の両親も亡くなり、新得の実家を手放したことから、新得でのボランティアを今年限りとした。清水代表は「今年は店舗のある町内会でごみ拾いを始めた。店の周りから新しい社会貢献を進めたい」と話している。