地域食堂でお悩み相談の受け付け開始 あったらいいねプロジェクト
福祉関係者らでつくる帯広市のボランティア団体「あったらいいねプロジェクト」(中村千代子代表)が展開する「あったらいいね地域食堂」で、協立病院などを運営する医療法人社団刀圭会の在宅支援部「向日葵(ひまわり)」(帯広)が、障害や介護、健康に関する相談受け付けを始めた。中村代表(71)は「いろいろな方がそれぞれの立場で関わり、視野が広がる。8年目で理想的な団体になってきた」と話す。(北村里沙)
「独居だがケアマネについてもらった方がいいだろうか」「自分でできるリハビリについて教えてほしい」
2017年から生活困窮者支援などを目的に2カ月に1回食事を無料配布する「あったらいいね地域食堂」。40回目となった9月28日、弁当の列に並ぶ人やブースを訪れた人が、悩みを語っていた。会場の市内のコミュニティーサロン「あがり・框(かまち)」で、「向日葵」の主任介護支援専門員・相談支援専門員や看護師が対応した。
「向日葵」は、指定居宅介護支援事業所向日葵、訪問看護ステーション向日葵、相談支援事業所向日葵からなる。「あがり・框」がある帯広市・西日常生活圏域の相談支援事業所でもある。「向日葵」がこの地域食堂に参加し始めたのは5月から。山本佳子所長(45)らが「つながりの場」としての役割を果たしていた関係者の熱い思いに共感し、障害福祉に関する悩みの聞き取りを始めた。
7月からは指定居宅介護支援事業所と訪問看護ステーションの介護支援専門員、看護師らも加わり、介護保険についての説明や血圧測定も行うようになった。
山本所長は「支援制度を知らず、さまざまな問題を1人で抱え込んでいる人も多い」と指摘。まずは、相談できる人がいることを広め、「手助けできる制度や団体につなげ、少しでも具体的に解決する手伝いができればと思う」と話す。
28日の回に参加していた訪問看護ステーション向日葵の馬場梨花所長(44)は「地域食堂には気軽に来られる人も多い。2回目の相談に来た人もいて、継続的に様子を見ることができてきている」と語る。
同プロジェクトには設立初期から、地域の民生委員や学校教諭、市自立相談支援センターの相談支援員もボランティアとして参加。相談に応じたり、支援につなげたりしている。同センターの森深雪さん(60)は「地域共生社会構築の必要性が説かれる中で、このプロジェクトは重要な役割を担っている」と話す。
中村代表は「今の社会はホームレス、独居、介護、障害、それぞれの専門家の関わり方の何か一つが欠けても駄目」と強調。「介護などの向日葵さんが入り、視野が広がり、地域の要となる最高の団体になった」と意義を語っている。