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災害を教訓に持続可能な農業を

 2016年の十勝農業を振り返ると、6月中旬からの雨と日照不足、8月には4つの台風被害を受け、十勝西部を中心に河川が氾濫し畑の表土が流出するなど大きな被害に見舞われました。9月になっても雨が続き、収穫作業が遅れました。また、年末には、清水町の養鶏場で高病原性鳥インフルエンザウイルスが確認され、鶏28万羽を殺処分にしました。被害を受けた農業者や復旧に追われた農協などの関係機関の皆様に衷心よりお見舞いを申し上げます。

 近年にない災害・不作の年にもかかわらず、管内24JAの農畜産物取扱額が過去最高だった15年に次ぐ2923億円を確保したのは、畜産の取扱額が史上最高の1975億円に達したためです。近年、畜産は、設備投資や家畜の増頭が進み、取扱髙を伸ばしています。畑作と畜産を両輪に規模を拡大してきた十勝農業の力強さ、ポテンシャルの大きさを示しました。最近の気象変動は、従来の想定を超えた甚大な被害を全国各地へもたらしています。持続可能な農業に向けて災害による被害をいかに少なく食い止めるか、昨年の災害を教訓として今後に生かさなければなりません。

 16年は、ロボット技術やICT(情報通信技術)を活用した「スマート農業」に関した実演会などの動きが目立ちました。GPS(全地球測位システム)機能を搭載した無人トラクターや衛星を利用したリモートセンシング技術は、大区画農地を多く抱える十勝には有利であり、この分野で十勝がけん引役となって省力化や高品質生産に優れた次世代農業を確立することが期待されます。

 15年に大筋合意したTPP(環太平洋連携協定)は、1月に発足した米国のトランプ政権が「永久離脱」を表明し、協定発効が難しくなりましたが、これに替わる2国間貿易協定の動きを注視しなければなりません。ただ、長期的には農業の国際化は避けられません。グローバルな視野から十勝農業の在り方を問い掛けることが求められます。

 さて、当フォーラムは、十勝農業の発展に向けて最新の農業技術を広く普及、定着を図るため、1993年から道内の研究機関が取り組んでいる研究成果と、十勝毎日新聞に掲載された農業関連記事をまとめた「農業新技術・十勝農業情報ハイライト」を編集し、各農協を通じ、組合員の皆さんへ無料配布しています。25年目となる今年も、北海道立総合研究機構の各試験場の協力を受け、畑作と畜産に関する研究成果20件を紹介しました。記事は昨年3月から今年2月までに掲載されたものから選抜しました。この冊子を日頃の営農活動に役立てていただければ幸甚です。

 最後になりましたが、製作に協力をいただいた道立農業試験場、冊子の配布を引き受けていただいた管内各JAの皆様に心からお礼を申し上げ、発刊のあいさつとします。

十勝農業フォーラム 
代表 林 光繁 

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