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医療用ウィッグ、安心サポートで提供 髪花堂

医療用ウィッグを合わせる松浦代表。治療中で外出できない人には病室まで赴いて合わせるサービスも(金野和彦撮影)

 帯広市内の美容室「髪花堂(はっかどう)」(西23南3、松浦治代表)は、がん治療の副作用などで頭髪を失っている人のための医療用ウィッグ(かつら)を扱っている。入院中で来店できない客に対しては、病室までウィッグを合わせに“出張”するサービスも実施している。美容業界では「医療用ウィッグを扱うことを積極的にPRしている店は十勝では珍しいのでは」としている。

 同美容室は、昨年6月からファッション用ウィッグを扱っていた。しかし、利用者から「医療用も扱ってほしい」という声が寄せられる一方、医療用を求める患者の金銭的、精神的な負担を知り、5月から扱い始めた。店のチラシなどでPRしているという。

 松浦代表が病院の看護師から聞いた話では、医療用ウィッグを扱う大手業者の営業所は管内にない。患者がウィッグを求めても、業者が病院を訪れるまでに半月以上かかるという。また「業者が勧めるウィッグはファッション用と同じで、安くても10万円以上、オーダーメードとなるとそれ以上になる」と松浦代表。さらに「医療費だけでも高額なのに、さらに負担がかかる。そもそも患者は大金を払うことをためらわないほど、髪のない不安を一刻も早く解消したいのに、用意するまでに時間がかかり過ぎる。これではあまりにもかわいそう」とサービス導入を決めた。

 扱っている医療用ウィッグは、ファッション用と同じメーカー製で、品質も同じだが、価格はファッション用より安いという。「ウィッグの髪は人工だが、手触りや、洗える点などで天然と見劣りしない出来。治療中のいっときを安心して過ごすには十分」と松浦代表。装着後のウィッグの微妙な調整(散髪)も、美容師の松浦さんが行う。

 ウィッグ利用者の一人に、小さい子を持つ母親のがん治療患者がいた。ウィッグをつけてもらった母親は「子どもに堂々と顔を見せられた。子どもも笑顔で迎えてくれた」と感謝した。松浦さんは「その笑顔を見たとき、このサービスを始めてよかったと思った。同時に、まだまだ苦しんでいる人がいるに違いない」と話し、「治療中でも髪は女性にとっては命同然。焦る気持ちも分かるが、無理にお金をかける必要がないことを、一人でも多くの人に知ってほしい」と利用を呼び掛けている。

 道美容業生活衛生同業組合帯広支部の高橋達也支部長は「医療用ウィッグはファッション用ウィッグをがん患者のためにより発展させたもの。帯広では4、5年前にメーカーから提案されたが、浸透しているとは言えない。これから発展していく分野だと思う」と話している。(大木祐介)

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