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帯広出身の友章さんのCD全国発売へ 帯広三条高合唱部も参加

5月のレコーディングに向け、「君へ…」の練習に励む帯広三条高校合唱部

 昨年、48歳で死去した帯広市出身のシンガー・ソングライター友章(ゆうしょう)さんのCDアルバムが、初めて全国発売されることが決まった。全国屈指の実力を持つ帯広三条高校合唱部(中居沙耶部長)もレコーディングに参加し、難病の少女を励ます曲として話題になった「君へ…」を5月に収録する。部員たちは部の愛唱歌として歌い継ぎ、友章さんの思いを残そうと練習に励み、家族も志半ばでこの世を去った友章さんの夢が形になると喜んでいる。

 友章さんは1964年生まれ。86年に上京し、ギタリストとして多くのアーティストのレコーディングなどに携わった。2010年、心臓にウイルスが入った難病の少女への応援ソング「君へ…」を書き下ろして話題に。集まった多くの募金をもとに少女は渡米して手術を受け、一命を取り留めた。

 友章さんは十勝の空を歌った「そら」など40曲以上を作詞作曲し、精力的に活動していたが、昨年2月に硬膜下出血で急逝した。今回のCD(曲数未定)は東京の会社が制作し、7月にも全国発売される。

 CD化に当たり、昨年暮れ、友章さんの実兄の加藤祐功さん(いちまる社長)と帯三条高合唱部顧問の豊田端吾教諭の間で同部参加の話が持ち上がった。「万人への応援メッセージにつながる」(豊田教諭)と感激し、作曲家としても活動する川崎智徳さん(帯広小教諭)に「君へ…」の編曲を依頼。3月中旬に“オール十勝”で女声三部合唱曲に生まれ変わった。

 一方、全日本合唱コンクール全国大会日本一などの実力を持つ同部には、新1年生を迎え、今年度のコンクールにも向けた大切な時期。部員たちは「限られた時間の中で、中途半端な仕上がりでは申し訳ない」と当初は慎重だったが、部内で何度も話し合い、「地元ミュージシャンの思いを引き継ぐことが部の役割」と参加を決めた。

 同部のレコーディングは5月25日に帯広市民文化ホールで行う。先に都内で収録したオーケストラ演奏をもとに、2、3年生の部員28人がパートごとに録音する。今月4日、祐功さん自らも同校を訪れ、部員に友章さんの人柄や人生を伝えた。友章さんが入院した病院のベッドの枕元で、回復を願い「君へ…」のCDを流し続けたエピソードも告白。弟の最期に向き合うつらい過去を語る姿に、部員は思いを新たにした。

 「自分も励まされる素敵な曲。声質をそろえ、抑揚に気を付け、聴く人に歌詞の意味が伝わるよう練習を重ねたい」と副部長の長瀬はるかさん(3年)。祐功さんは「高校生が歌い継いでくれ、多くの人に聴いてもらえる機会が増えることはミュージシャン冥利(みょうり)に尽きる。友章も喜んでいると思う」と話している。(原山知寿子)

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