大自然の中で家具づくり page まちマイ鹿追編
「積み重ねていく時間を大事にしたい」。そんな思いから家具とデザインのアトリエを「page(ペイジ)」と名付けた。東大雪連峰と日高山脈が望める町幌内にある。
高野夕輝さん(39)、佳子さん(34)夫妻が家具などのデザイン、設計、制作を手掛ける。夕輝さんは帯広畜産大学を卒業してから数年後、物作りに目覚めて大阪市内の家具・デザイン・アート関係の会社に就職、技術を習得した。同僚でインテリアデザイナーだった佳子さんと知り合い結婚した。
夕輝さんには北海道暮らしの夢があり、自分たちらしい暮らしができる場所を求めた。「地域の人たちが温かく接してくれた」。この地に魅せられ12年4月、移住を実現した。築約50年の牛舎を改装してアトリエを作った。今は長男の峰(みね)ちゃん(2)と3人で町内の自宅からアトリエに通う毎日だ。
夫妻の作品は、木造軸組伝統工法「ほぞ組み」で、1本のくぎも使わないのが特徴。夕輝さんは「木は年月がたつにつれ、いい風合いがでる。木に味わい深さを感じる」と話す。
今はテーブルや食器棚を口コミで受注する。「ひとつとして同じものがない木が面白い」と佳子さん。「室内に置くオブジェも手掛けたい」と夢が膨らむ。
地域との交流も深まり、然別湖周辺の自然や動植物をイラストで描いた「いろいろあそびかるた」の読み札制作にも協力した。「古い家を直すよりも、新しい家を建てたほうが早いよ」と笑われることもあるが、夫妻は「大好きなこの場所で、ゆくゆくは古い家を直して住み家を造りたい」と目を輝かせる。(佐々木健通信員)