満寿屋「麦音」に馬牧場、来春開業 敷地拡張し5頭飼育
パン製造・販売の満寿屋商店(帯広市、杉山雅則社長)は4日、麦音店(市稲田町南8線)で記者会見し、同店南側に「麦音馬牧場」(仮称)を整備すると発表した。ホテルや馬車バーを展開する十勝シティデザイン(坂口琴美社長)と協力し、馬との触れ合いなどの展開、馬が関わる地域循環食材を使用した飲食の提供などを予定している。来年春の営業開始を目指す。(津田恭平)
同社は「2030年 十勝がパン王国になる」を企業ビジョンに掲げ、「つくる」「食べる」「学ぶ」をテーマに麦音の拡張計画を進めている。麦音は09年にオープンし、現在の敷地面積は1・2ヘクタール。今後3ヘクタールまで拡張する予定。
同社は、15年に設立した資源循環型の生産活動に取り組む協議会「ばん馬toきのこto小麦の環」に参画。循環サイクルに関わる小麦をパンに使用しているほか、馬耕や馬そりのイベントも行っている。こうした背景を基に馬牧場を整備し、地域循環を見て体験する場所をつくることで、十勝ならではの農作物や文化、自然の価値を高め、十勝とつながる人を増やすことなどを目指す。
牧場の面積は1730平方メートルで、最大5頭を飼育する。十勝シティデザインの馬車バーで活躍している「ムサシコマ」が、十勝ヒルズ(幕別)から麦音牧場に移る。その他、ばん馬1頭とドサンコ3頭を飼育予定。餌やりや引き馬、敷地内外を巡る馬車プログラムを計画している。
馬の堆肥を使った野菜などを使用したパンの販売なども行う予定。工事は8月に始まり、12月に終了予定。事業費は6000万円。
会見で杉山社長は「パンを食べながら十勝の農業や馬文化を感じ、世界中から人が集う場所にしたい」、坂口社長は「より多くの人に馬を日常に感じてほしい」と話した。十勝シティデザイン創業者で、帯広食べ歩きまち社長の柏尾哲哉氏は「農と食に馬文化が重なることで、十勝は世界でオンリーワンの地域になる」と強調した。
イベント広場や小麦畑、パンの試作などを来場者が楽しめるラボ棟(仮称)など、今後の拡張計画も示され、デザインを担当している高野ランドスケーププランニングの赤嶺太紀子取締役は「五感で十勝を感じられる場所にしたい」と語った。