農業労災に特化した初のリーフレット 労基署と帯畜大が連携
十勝管内で農作業事故が増えている。帯広労働基準監督署(鍋岡順子署長)がまとめた2024年の労働災害発生状況によると、休業4日以上の農業の労災は25件で、前年から9件増加。学生や外国人など多様な人材が働いていることも踏まえ、同労基署では帯広畜産大と連携し、農業に特化した労災防止のリーフレットを初めて作成した。
労災の分類上、「農業」は畑作のみで、「畜産業」は別の項目で集計している。25件はここ5年間で最多。内訳は「はさまれ、巻き込まれ」6件、「墜落、転落」5件、鎌などによる「切れ、こすれ」5件、ぎっくり腰などの「動作反動」3件など。
農作業事故は重傷化につながりやすい上、近年、現場では外国人雇用も増えるなど働く人材が多様化。大型化する作業機械に接する機会も増えていることから、注意喚起の目的でリーフレットを作成した。これまで畜産業の労災防止リーフレットはあったが、農業(畑作)では初めて。
リーフレットは25ページ。機械への巻き込まれなど、発生しやすい6事例を解説したほか、「畑内をトラクターが走行している際」「バンカーサイロで作業する際」について、危険の予測と対策を記載した。労働安全衛生関係法令のポイントもまとめた。
作成に当たり、学生が農業アルバイトを行う機会が多い帯広畜産大と連携。機械を用いた撮影を畜大内で行ったほか、「バンカーサイロの危険」など一部項目は畜大の要望も受けて盛り込んだ。同労基署は「農作業バイトに初めて取り組む畜大生も、読んで危険を理解してほしい」とする。
同労基署では今後、農業関連の安全大会や、実際に農家を訪ねた際にリーフレットを活用し周知していく予定。同労基署のホームページでも掲載している。同労基署の野口将太郎労働基準監督官は「作業にひそんでいる危険を知るきっかけにして」と呼び掛けている。(中島佑斗)