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新築祝いに「剥製」? 北海道の風習説、真偽問う 浦幌博物館が情報収集

博物館に寄贈されたキジの雄と雌(手前)やクマタカの剥製と、情報を集めている持田学芸員

 【浦幌】北海道では新築祝いに剥製を贈る風習があった-。浦幌町立博物館はこうした“説”の真偽を確かめるため、広く情報を集めている。(澤村真理子)

 2023年夏、大阪府のきしわだ自然資料館の学芸員から同博物館へ1本の問い合わせがあった。「北海道では家を建てた人にエゾシカの剥製を贈る風習が本当にあるのでしょうか」

 同資料館にエゾシカのトロフィー(頭部のみの剥製)を寄贈したいとの申し出があり、その寄贈者が「父親が帯広で家を建てたときに知り合いからもらったもの」と話していたとのことだった。

 同博物館の持田誠学芸員は早速、北海道自然史研究会と北海道博物館協会学芸職員部会に情報提供を呼び掛けた。その結果、9人から11件の情報が寄せられた。「(聞き取りによると)確かに新築の家にエゾシカの頭部の剥製を贈る習慣があったと記憶しているとのこと。ほかにもサンゴの置物、キジの剥製も新築の家への贈り物としてあったらしい」との情報の一方、「聞いたことがない。ハンターだけでないか」「新築祝いは聞いたことがない。お金持ちの象徴として、持つことがはやったと記憶している」と風習は無かったとする声も複数あった。

 また、「実家の玄関壁に、父が新築時に購入したエゾシカトロフィーが備わっている」との証言もあった。

 今年1月には同博物館の「博物館だより」で、証言を集めている旨を紹介したところ、町内から2件の情報があった。一つは「新築時にキジの剥製をもらった」というもので、もう一つは「エゾシカのトロフィーが自宅にあるので寄贈したい」との申し出だった。

 持田学芸員は「新築の家に剥製を贈るという行為が、北海道の一般家庭の風習というほど広まっていた可能性は低い」とした上で「一部の農村地域などで昭和や平成の初めごろまで習慣としてあったことがうかがえる。引き続き証言を集めたい」としている。

 情報提供は同博物館(015・576・2009)へ。

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