力走に声援 フードバレーとかちマラソン
29日午前に号砲を鳴らした「2023フードバレーとかちマラソン」(実行委主催)では、沿道から多くの市民が「頑張れ!」などとエールを送った。コロナ禍が明けて4年ぶりに飲食の出店が解禁されたほか、昨年プレ開催だった車いす部門が新設された。(山田夏航、北村里沙、吉原慧)
沿道にぎやか 横断幕や太鼓
スタート直後の帯広競馬場前では、多くの観客がランナーに声援を送った。
帯広厚生病院のランニング部は、仕事などの都合で大会に参加できない部員7人が、合間を縫って応援に駆け付けた。「キープすまいる」「ないすラン」と書いた横断幕を掲げ、ランナーを励ました。部長の森多喜子さん(53)は「医師や看護師など、部員も何人も参加している。景色を楽しみながら無理せず走ってほしい」と話した。
コース前に店を構えるバイク販売のハーレーダビッドソン帯広では、店の前に脚立を立て、応援ボードや太鼓、マイクを使って駆け抜けるランナーを応援した。店員の長澤智子さん(52)は「以前5キロのコースを走っていたが、沿道の声援が力になった。『ファイトー』『頑張れー』とマイクで声掛けして、多くのランナーが手を振ってくれて、私が元気をもらった」と笑顔を見せた。
ねぎらいの食 4年ぶり復活
ゴールの中央公園では、十勝管内のグルメを満喫できる「食フェスタ」が4年ぶりに復活。2019年と同程度の28店舗が並び、午前10時ごろから走り終わったランナーが到着し長い列ができた。
ハーフマラソンを走り19、22年も参加したという東京都の会社員、小篠正慶さん(52)はゼッケンから切り離した500円チケットで「走った後は甘いものが食べたくなる」と十勝産の小麦などを使ったドーナツと引き換えた。「去年は少し寂しかったが、やっとフードバレーという感じ」と笑った。出場した夫の関和輝さん(29)を応援した音更町の20代女性は、午前9時ごろにハンバーグ丼を購入。食事しながらゴール地点で待っていた。
山口さん2.5キロ優勝0.8キロは榎本さん
初の正式開催 車いす部門
正式開催となった車いす部門は、0・8キロと2・5キロの2コースを設定。それぞれ4人ずつ計8人がエントリーした。
午前9時にスタート。帯広南商業高校陸上部が伴走しつつ、参加者は力強く車輪をこぎ、汗を流した。0・8キロは榎本一夫さん(75)=上士幌町=が6分44秒で、2・5キロは山口祐平さん(36)=帯広市=が16分48秒で優勝した。
娘の小晴ちゃん(5)を膝に乗せて完走した山口さんは「安全に楽しく走れてよかった」と達成感をにじませていた。「視覚や聴覚など、より多くの障がい者の方が気軽に参加できるような運営になればいい」と話していた。